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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ 致命的!メッセージ同期ずれ 上

 メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 メッセージ同期の良い例を御紹介するまえに、今回は悪い実体験から。

■ 動かない店員

 先日友人と、あるタイヤ屋へホイール修理に行った。昼12時10分。店には他のお客さんはおらず、僕らの車が広い駐車場に1台だけ。工場に店員の姿は見えない。「昼休みかな?」と思い、車から降り事務所を覗くと、店員が3人こちらを見ている。しかし、誰も立ち上がろうとしない。

 事務所のガラス越しに睨み合うこと5秒ほど。彼らの顔には「何しに来たんだろう?」という表情。友人は我慢ならず「帰ろっ!」と言って車に向かった。その時、ようやく一人がゆっくり立ち上がった。

■ 終始不機嫌な店員

 その店員は、年齢40代後半か。こちらの話を聞くあいだ、終始不機嫌そうな眉間のシワは消えなかった。別にコワモテのオヤジさんでもない。細身で、どこにでも居そうな人。何か嫌な雰囲気での立ち話だった。ホイールは直った。だが、この店にはもう2度と行かない。

■ 問題はこの店員の顔だけじゃない!

 眉間にシワを寄せて話をする人が他に居ないわけではない。普通の話し方が「なにかイヤそう」な人は沢山いる。一般的に気が弱く、否定・拒絶を怖れるタイプの人にこの傾向が強い。つまり、これは「防衛の表情」であり、彼にとって人と接する時1番落ち着く表情なのだ。

■ では、なにが問題なのか?

 その店の店頭は、賑やかにポスターが貼られ、沢山のノボリが立ち、いかにも「いらっしゃいませ!」ムード。ところが、その店と店員の態度とのギャップが激しい。つまり、店舗の持つメッセージと、そこで働く人の発するメッセージが同期していないことが問題だ。

■ 悪印象増幅回路

 メッセージの同期が取れていない場合、お客さんに与える悪印象は増幅される。その簡単な構造はこうだ。

  1. 会社側が発する情報に目が触れる
    「最高のサービスと、100%の満足をお約束」
    といった”良い言葉”や、”フレンドリーな雰囲気”

  2. 記憶「良さそうな会社だ」しかし、今は必要ない

  3. ある日、その会社の提供するサービスに必要が生じる

  4. 再度会社の情報を見直し、数社の選択肢から決定

  5. 期待「ここなら間違いなさそうだ」

  6. 行動 (来社・来店・通販購入等)

  7. メッセージとの同期ずれ・期待を裏切られる

  8. 怒り (+周辺の人々へ伝達・クチコミ)

■ なぜ悪印象が増幅されるのか

 それは、その会社が「お客さんにウソをついた」からにほかならない。

 印象の悪い会社は「とにかくお客が店に来ればなんとかなる」との考えから、ワナを仕掛けて待っている。お客さんが怒るのは、「自分が純粋に期待を抱き、そのワナにまんまとはまってしまった」ような屈辱感を持つためだ。

 誰にでも「賢く生きたい」という心がある。それが自尊心になり、自信につながる。会社側の「ワナを仕掛ける」行為は、お客さんの自尊心を傷つける。結果、怒りも悪印象も増幅される。目先の「とにかくお客が来ば・・」という考え方が、行動とメッセージの同期ずれを生む。

■ チェックポイント

 一度この「悪印象増幅回路」に収まってしまったお客さんは、二度と戻ってこない。それどころか、クチコミで悪いうわさはどんどん広まる。そうならないための簡単なチェックポイントは、

 □ 社員(店員)は会社の方針を理解しているか
 □ 宣伝広告(PR)は会社の方針を反映しているか
 □ PRが”奇麗なだけ”の自己満足になっていないか
 □ PRと会社の「見た目」の統一感があるか
 □ 「とにかく来店させれば」とPRを”ワナ”だと思っていないか
 □ キャッチフレーズ・コピーを広告代理店に丸投げしていないか
 □ 見られたい姿と本当の姿が同じか
 □ 売ったら売りっぱなしにしていないか
 □ お客さんの視点(客観的な視点)で自社を見るゆとりがあるか

当てはまる項目が多かったら注意が必要だ。

■ 次回は「行動とメッセージの同期」が好印象を呼んでいる会社を紹介

 現在の僕自身、あまりにメッセージの同期ずれを起こしているPRとの接触が多いためか、”良い言葉”に対して非常に懐疑的になっている。しかしその中でも「へぇ〜!ここまで出来るんだなぁ」と感心させられた事例がある。社員・パート・アルバイト、立場に関係なく自然に行動とメッセージ同期を行い好印象を得られる会社は、これからも生き残っていくことは間違いない。

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