■ 次代は光マーケティング?
メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。
車で走っていると、道路沿いに煌々と明かりを灯した店を見かける機会が多くないだろうか。最近の流行りは、店の前の駐車場を「カッ!!」と真昼のように照らすもの。しかし、光の特性を知らず、ただ照らしているだけの店が多いのが残念なところだ。
■ 強烈な光を使う傾向のある場所は?
強烈な照明を施している場所は、大きく3種類。色は大きく2種類。
・ 飲食店店先 オレンジ
・ 自動車展示場 ホワイト
・ 駐車場 ホワイト(黄色っぽい)・オレンジ
もちろん他にも色々あるが、これらが対照的で分かりやすい。
■ 光の性格を知っているか?
映画制作や撮影にかかわっていると、光を単一のものとして見なくなる。光にはいくつもの性格があるのだ。それらを理解しそれぞれの特色を生かしつつ活用し照明を行う。特にビデオではなく、フィルム撮影の頃は、光の色をフィルムの特性にも合わせることが重要だった。
撮影に詳しくない方にとっては、光の性格というとちょっと変わった言葉に感じるかもしれない。しかし、改めて聞いてみると「なんだ、そいうことか」と思うはず。そこで、まず最初は、光の色の違いを簡単に解説する。
■ 光の色の違い
太陽光を思い浮かべてみてほしい。早朝、太陽がまだ顔を見せる前は、薄青い世界が広がる。太陽が顔を出した瞬間は「赤」っぽく、日が高くなると「白」っぽく、夕方また「赤」になり、日が落ちると「青」になる。光には色温度というものがあり、これらの色の違いは「色温度」と表現する。実は、この色温度が人間の心理と深く係わっている。
色温度については詳しい解説をすると時間がかかるので割愛するが、温度が高い程白く、低いほど赤くなると覚えておけば十分だ。決して「赤は熱そうな色だから色温度が高い」わけではないので、慣れるまでちょっと面倒だ。
■ オレンジ色の光
オレンジ色の光は「飲食店」に多く使われていると冒頭で紹介した。飲食店は『食欲』を駆り立てないと商売にならない。光を食欲の演出に使っている例だ。モデルハウス等を見学に行くと、ダイニングのテーブル用照明には、蛍光灯ではなく白熱球のようなオレンジ色の光が使われているはずだ。これは、青白い蛍光灯の光より、オレンジの光の方が食べ物が美味しそうに見えるから、というのはよく知られている。
「でも、テーブル照明がオレンジならいいんでしょ?だったら店先がオレンジ色の必要ないじゃないか?」と思われたかもしれない。例えば夜店の焼きそば屋の店先の照明が、田舎の駅の切符売り場みたいな青白い蛍光灯だったら、食べたくなるだろうか? なぜ、あの場所ではむき出しの透明ガラスの電球、オレンジ色の光が似合うのか分かるはず。
■ 白い光だと何がいけない?
「でも店舗を照らす光なんだから、白くて明るいほうが目立っていいんじゃないか?」
といわれる方もいるだろう。例えば僕の行動範囲内の「北海道のカニ」を出すお店では、昼の太陽のような真っ白な光が店先を照らしている。確かに目立つしお客さんの安全のためには良い選択かもしれない、しかしどこか機械的な冷たい雰囲気を出してしまうのが白い光なのだ。とても「美味しい食事を提供する場所」に見えない。
■ 同じ白い光でも、場所によっては最適
ところが、この白い照明を「屋外自動車展示場」は好んで使う。この白い光は昼間の太陽光を意識している。車体色をより正確に見せる意図や、オレンジ色の光より「明るい」印象があるためだろう。もちろん、白い光は防犯効果もオレンジ色より高いので、屋外自動車展示場に最適だと考えられる。仮にオレンジ色の照明だとしたら、車が安っぽく見えてしまう弊害もあるだろう。
■ 駐車場が白+黄色っぽい、またはオレンジなのは?
自動車展示場と異なり、駐車場に色的な質は必要ない。光量も自動車展示場より少なくていい。このように目的が違えば使う電球も変わってくる。展示場はいわば大切なショールームだからお金をかける、駐車場にはそんなにお金をかける必要はない。
■ 重視する点によって変わる照明
両者とも光を販促に使っているのは同じだが、互いにかなり性質が違うことも再度強調しておきたい。飲食店の場合は視認性を上げつつ「食欲」や「活気」を演出していたのに対して、屋外自動車展示場では「商品を正確に見せる」意図があった。黄色っぽい、またはオレンジの駐車場の照明は、屋外自動車展示場ほどではないが、安心感を持たせ「行きやすい・利用しやすい」演出に重点が置かれている。
■ 色と同時に光も重視
近年、色が人間心理に及ぼす影響を研究し、それを販促に利用する方法として「カラーマーケティング」という言葉が定着している。しかし、光についての認識はまだまだ「明るい」「暗い」程度。光にも無数の色がある以上、色だけでなく光ももっと重視すべき。色と光によって、より自社イメージを高めることだって可能だ
照明効果を会社や店先の「明かり」としてだけでなく、自分の商売に合った光の色を見つけだし活用していけたらかなり面白い。