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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ 間違える、という技

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 「今日は月曜日」

 「今日は日曜日、じゃなくって月曜日」

 どちらが印象的かと考えてみると、後者の方だろう。

 僕はホームページの日誌の方で言葉の揚げ足取りみたいなことを書くのが好きだ。例えば「雰囲気」を「ふいんき」という大人や、「焼き増し」を「やきまわし」と言う人。どちらも間違いなんだけど、例えば後者なら、現像屋の宣伝でわざと間違えて使うことで、間違いの有効活用が可能だ。

 ならば今回は揚げ足ではなく肯定的に「間違い宣伝」を取り上げてみたい。

■ 間違い宣伝1:おバカ語

 最近、「ラムカ」という化粧品会社のテレビCMで、このおバカ語系の手法が使われている。ちなみにおバカ語系というのは僕が勝手につけた。

 女優の一人二役(双子っぽく)で、化粧水の使用感を、

 「こゆい〜!」「こゆい〜!」

 どうやら「濃い」と言いたいらしいが、完全な間違い言葉だ。しかし、ここで間違える意義は色々ある。

・ 対象顧客層と同じ言葉を使う
・ 堂々と間違えることで印象が上がる
・ 「濃い」と言ってしまうより「こゆい」方が「濃さ」が伝わる

 大切なのは伝えたい人に伝えること。間違いだってオッケーな場合もある。

■ 間違い宣伝2:無関係間違い

 森永アーモンドチョコレートのテレビCMで。社長らしき人物が、2種類あるチョコレートのどちらが美味しいか部下に調査命令を出す。社長の前に3人並んだ部下は左から右へ、下っ端に押し付けていく。

社長   「どちらが美味しいか早急に調査だ」
部下1  「早急に調査だ」
部下2  「卓球に挑戦だ」
下っぱ社員「はいぃっ!え?」

 次のカットで下っぱ社員は中国の卓球選手と汗だくで卓球をやっている。

 商品の何かを間違えるというより、ギャグストーリーとして「間違い」を商品にからめて記憶を促そうとしている。

 ずっと昔に「日清」が「カップヌードル・五目」を「カップヌードル・ごがつ!」と言ったり、「麻婆」を「カップヌードル・あさばあ!」とやった例もある。

■ 間違い宣伝3:コンティニュイティーフロー

 映画の中で、ある役者が右手に持っていたコップを連続した別アングルからのカットでは左手に持っているミスを専門的には「コンティニュイティーフロー」と言う。

 この「間違い」は、スクリプトスーパーと呼ばれるスタッフの記録ミスによって起きるのだが、ビデオレンタル店やビデオ業界全般で宣伝に使われる時がある。

 例えば、情報誌の一部で「これこれの映画のこのシーンをよくみていると、ここで壊れた小道具が次のシーンでは直っている!」等と書いてみたりする。このようなコンティニュイティーフローばかりを集めて紹介することで、「お。見てみたい」と思う人が出てくる。映画マニアにこの傾向は強い。知りあい等に自慢しなきゃならないから、必ずチェックする。

■ 許される範囲の間違いは使える

 例えば「車一台100円!あ、間違えた100万円」と言っても全く意外性もなければ面白味もない。

 意外性があったとしても、ウソと受け取られお客さんを不快にさせるような言葉では全く意味がない。「おバカ言葉」の例のように、「わざと間違えているんですからね」と言わなくても分かるような使い方をせず、結果的にお客さんが「バカみたい。間違えてる」と思ってしまうのも問題だ。

■ 使いにくい場合も

 この間違い宣伝は、親近感やお手軽さといった雰囲気を伴うので、基本的には高級品や、上品でスタイリッシュな系統の業種には使いにくい。高級感には知性がついてくるので、「間違い」が同居する余地がないのだ。

 使いにくいといっても、やり方によっては意外性もでるだろうが、かなり難しく勇気がいる。

 「最近の若い子達の言葉は・・・・」とばかり言っていないで、逆手に取ってしまうと意外に面白いアイデアが出てくるのかも。ただし、こう言っている僕自身は短縮言葉や、語尾上げ等、私生活では絶対使わない。絶対使わないけど、観察だけは怠らないようにしたい。

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