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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ クリシェーって知ってる?

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 先日、例によって少し遅れで問題作”バトルロワイヤル2”を見た。とても退屈で、演技が臭くて、ストーリーが途中で停滞してしまい、にっちもさっちも行かなくなったという映画。撮影技法はプライベートライアンの”模倣”。若者の演技も、大声を出すと”金切り声”にしかならない役者ばかりで、本当につまらない。

 ここで映画についてブータレてても仕方がないのだが、今日のテーマはこの「バトルロワイヤル2」のシナリオから取ってみた。

■ クリシェーって一体なんだ?

 クリシェーとは、”Cliche”と書く。英和辞書を引いても出てこないかもしれない。というのは、これはフランス語だから、”e”の上にアポストロフィーがつく。でも、英語の単語としても古くから定着しているので、英英辞典なら出てくるだろう。

 クリシェーの意味を端的に言うと、

・ 使い古された表現
・ 安っぽい格言

といった感じ。

■ 映画のセリフ

 僕がこの映画のシナリオが寒くて寒くて仕方がなかった理由が、

 「最後にええ仲間ができて良かった」
 「オレにかまわず、先に行け!」
 「おれ達は仲間だ」

といった、全編安っぽい手垢付きのセリフばかりだったからだ。

 子供たちが学校で作る”環境ポスター”に、涙を流した地球を描くとか、「スピード落とせ。家で待ってる家族の笑顔」なんてのもクリシェー。クサイ、安っぽいのはみんなクリシェー。

■ クリシェーの問題

 一言でいうと、「つまらんから、なんにも伝わらん!」

 でも、人は何かを伝えなきゃいけないとき、一番聞きなれたところへ落ち着いてしまうもの。コピーを考えなきゃと思っても、どこから考えたらいいか分からない。少し深く考えると自己満足になってしまったり、奇をてらっただけになってしまったり。

 そういう発想の苦しみの中から「まあ、こんなもんか」と投げやりになったとき出てくるのがクリシェーなのだ。

■ クリシェーを越える

 本当にすごいシナリオは多くをキャラクターに言わせない。ただひたすらに恋愛する、ただひたすらに警察から逃げる、ただひたすらに戦う、ただひたすらに仲間を守る、といった”ひたすら何かをする”だけの場合が多いはず。一度思い起こしてみてほしい。

 「こいつ、なんでそこまでするんだ?」という疑問といらだち。

 その主人公のひた向きさを見て、観客が自然に「恋愛とは?」「自由とは?」「命とは?」「仲間とは?」と考えはじめる。答えは標語のように言葉にならないことも多いから、クリシェーにはならない。

■ 企業PRにもこのクリシェーが多い

 「こだわりの〜」

 に代表されるクリシェー。加えて、今や、

 「お客様の笑顔が私たちの生きがいです」

なんてのもかなり寒い。本当にそう思っているなら別だが、そうだとしても問題はそれが伝わってるかどうか。

■ 伝わってます?

 たとえば、今までレジが遅かったからお客さんを待たせていた。で、”あそこのレジは遅いからイヤ”という苦情が出ていたとする。だいたいお店側もこれを認識していて、

 「う〜む、お客さんに”お待たせしません”とPRしよう」

と軽く考える。でも、そのままでは伝わらない。同じお待たせしないのでも、

 「お待たせしません」

と言われるより、

 「レジ係、7人増強!絶対お待たせしません!」

と根拠とともに言われる方が伝わりやすい。人を7人雇えと言っているのではない、何かそういう伝え方がないか、アタマをひねるのだ。昨日と何か違わなければ、今日のレジがスムースになることはない。だったら、何が変わったんだろう、何を努力したんだろう?と考えていく。

 常にアタマを使っていれば、今まで最良だと思っていたアイデアより良いアイデアが出てくることがある。そんなとき、古いアイデアに「もったいない」と固執せず、どんどん新しい方を使っていくことも大切だ。古いアイデアがクリシェーだった、ってのは多い。

 クリシェーが出てきたら、バッサリと切り捨てよう!でないと、あなたの言葉を聞くだけで、周りの皆の背中にはムシズが走ることになる。

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