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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ お客はみんな知っている

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 サラリーマンの知りあいと話をしていると、たまにこんな言葉を聞く。

 「ウチの会社、開発部門ダメダメなんだわ。宣伝はクチばっかやし」

 消費者の立場からすれば迷惑な話だ。自分達が全く自信も、信念も持っていない商品を”宣伝文句”だけで”買わせよう”としているのが明白だからだ。

■ ネット時代の危険

 冒頭の「ウチの会社、開発部門ダメダメなんだわ。宣伝はクチばっかやし」という言葉は、ネット時代にはとても危険であることを認識すべきだ。

 どう危険か?それは、

「ネットには、内部事情をバラしたくてウズウズしている人間が山ほどいる」

ということだ。試しに何でもいいから、商品評価がからむメーリングリスト等に登録してみることをお奨めする。そこで話される話題の例を挙げてみよう。

■ 世の中みんな「事情通」になりたい

 ある商品を買うのに「どちらが良い?」という質問があったとする。そして、ある個人がその会社の社員と知りあいで、

 「ウチの会社、あまり知られてないけど○○社製品と中身一緒なんだよね。作ってる工場も一緒だし。名前が違うだけで値段が30%ぐらい高くなる」

 と言われたことを思い出す(OEMは周知の事実という場合もあるが、とりあえず例ということで理解してください)。そうすると、事情通の虫が騒ぎ出す。少し粗暴なモノシリ文調で、

 「てか、どっち買っても一緒でしょ。実は某社の開発関係者から直接聞いたんだけど、○社の製品と×社の製品は、皮が違うだけでまるっきり一緒っつーことです。しかも、あの製品には○○っつー問題があるって話も。あ、こんなこと言っていいのかな。(爆)」

 こんな例に限らず、仮に岐阜の片田舎で個人が漏らした言葉でも、ネットの上では全国に広まってしまう事はありうる。

■ 匿名性の持つスター願望

 聞き知った内部事情をひけらかしたくてウズウズしているのは、ごく普通の人たちだ。例えば、皆さんの同級生や、趣味仲間、単なる知りあい等、いつも隣にいる。

 ネットは匿名性があるので、誰が言ったか分からない。「情報豊富な事情通」的存在になるということは、なんとなくアンダーグラウンドの危険な香りを漂わせ、そのグループ内でミステリアスな存在になれたり、人脈豊富なやり手の人物をイメージさせたりする。つまり、グループの「顔」にお手軽になれる。実生活で達成できない願望の表現の1つだと僕は思っている。

 皆さんや、皆さんの社員の軽口がこの情報屋の耳に入ったときの危険を考えて欲しい。ウチの会社は規模が小さいから関係ない、という方も甘く見ていてはいけない。

■ ある社長

 先日、ある会社のHPを含めたPRの打ちあわせをした時のこと。担当者と仕事を進める前に、社長に説明をする機会があった。その席で、

「日本でウチの商品に勝てるのは、どこどこ社の何々という商品だけなんだ」

 と高級品の品名を言い切った。実際、その会社の製品の品質は他社と比較しても高く、仕事をいただく前から僕自身が製品の愛用者だった。素晴らしいのは、社長以下全ての社員が自社製品に自信を持っていて、堂々と営業をしていること。宣伝文句ではなく、会社全体で商品をバックアップしている。

 何をするにも、まずこうでなければならない。この社長のように、自社製品と対抗できる「個別の商品」をすぱっと挙げる事ができれば、聞いている側も「なるほど」と思う。『あの会社に負けたくない』というエゴだけで話していては全く説得力がない。全てを研究して「これしか関心できた他社製品はない」という姿勢には感動する。どこから漏れても、宣伝文句にしかならない言葉だ。

■ お客はみんな知っている

 これだけ情報が氾濫していると、お客さんはもう何でも知っているといえる。ちょっと会社に不満のある社員が言った一言や、不機嫌な時に勢いでこぼしたこと、個人を吹聴する自慢話、そんなささいなことまで企業のPRを台なしにしてしまう可能性をはらんでいる。

 一度壊れたイメージは、いくら後追いでイメージ宣伝を打ったところで変わるものではない。商品やサービスに自信を持つことがPRを成功させるための第一歩「以前」だといえる。

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