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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ 人に優しい(巧みな)PR

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 年末、大手小売店の店舗等に足を運ぶことが多くなる時期。さすがに人の数は通常の比ではない。特にクリスマスを控えた最後の週末とあっては、家族連れ、子供連れが目立つ。

 観察してみると、年末のお客さんの目指す場所は数箇所。

1. おもちゃ売り場 (クリスマス)
2. 食料品売り場 (年末年始準備)
3. 掃除用品 (年末年始準備・普通食料品売り場に併設)
4. お歳暮コーナー

こんな感じ。

■ この4箇所の違い

 おもちゃ売り場は、子供が行く場所。最近は物騒な世の中になってきたので、親が買物しているうちに

 「じゃ、おもちゃ屋でまっとるわ!」

というわけにはいかなくなってきた。それでも、子供はおもちゃ売り場へは目をつむっていてもいける。同様に2〜3番もいつもと同じ場所に売り場があり、特に迷うこともない。

 問題は4番の「お歳暮コーナー」だ。

■ お歳暮コーナーは仮設式

 どこの店舗でも、お歳暮コーナーというのは仮設式。商品の陳列棚が特設コーナーに並べられ、予算や好みごとに分けられた商品が並び、申し込み書記入用のテーブルがあるのが通例。

 ところが、常設で移動のきかない売り場と違い、お歳暮コーナーを探して回るお客さんも少なくない。お客さんの少ない日なら、きょろきょろ歩いていれば遠目にも

 「あ、あそこだ」

と分かる。しかし、年末ともなるとそれは不可能になる。人の波の中できょろきょろしたり、立ち止まったりしようものなら、周囲の人の冷たい視線を感じることになる。

 「この忙しいのにぼんやりしやがって!」

 お客さんはぼんやりしているよりむしろキリキリしているのだが、年末の雰囲気はゆっくり買物を楽しむようなものではなく、他のお客さんにも心の余裕がない。

 とにかく、売り場へ向かうお客さんをいかにスムースに誘導出来るかが重要だ。

■ 人の波の中での行動

 人の波にのまれているとき、自然にとる行動がある。それは、

 ”視線がいつもより下を向くこと”

 人がいなければ前を向いて歩ける。歩く道筋を別のお客さんが横切りそうな時でも、先に視界に入るため予想が立つ。しかし、人込みでは足下を見ていることが比較的多い。

 他人の足を踏んでもいけないし、両手に買物袋を下げていたりするため、思った以上に人にぶつかりやすい。視界に入りにくい、背の低い子供もいたりするので、自然に視線は下向き加減になる。

 そんな中で、「お歳暮コーナーはこちら!」と天井から短冊をぶら下げてもあまり意味がない。単純に”見ていられない”のだ。その習性を理解してお客さんを誘導しなければ、心地よく買物出来る店にはなれない。

■ ある店舗の例

 先ほど説明したように、人込みでは人は下に注意を向ける。

 しかし、低い位置に看板を立てて誘導するなんてのは、バカなアイデア以外の何モノでもない。ただでさえ色んな物が邪魔なのに、

 「ナンでこんなところに看板があるの!!」

と怒られることは間違いない。

 そこで、お店側が目をつけたのは、鋭い方は既に予想している通り。

 ”床”

■ 床に書け!

 お店の床に「お歳暮売場 ↑」という大きなステッカーが貼られているのをみたことがないだろうか?

 これは偶然でもなんでもなく、お客さんの行動を長年見てきたお店側が持つ技の一部だ(このステッカーの開発会社もいずれ是非紹介したい)。床なら邪魔にならない、つまずかない、しかも人込みの中で”一番”目に付く。こんなイイ場所はない!

 もちろん、そんなステッカーはどんどん擦り切れる。でも「仮設コーナー」への誘導なんだから、時期が終わったら捨ててしまっても大丈夫。

 お客さんをよく観察して、どんなところに不満があるのか、そしてどんな時にお客さんはどんな行動を取るのか?その観察結果の蓄積が”人に優しい(巧みな)PR”を作る。

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