非常に古いコンテンツです。

最新のトップページはこちらです。


 トップページ > アタマに残る中小企業 > 記事

 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ PRが上手い企業の生き例

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 僕はパソコンは得意な方だが、世のパソコンユーザーのうち1割程度しか使っていないマッキントッシュのユーザーなので、ことウィンドウズとなると分からないことが多い。先日もホームページ確認用に使っているウィンドウズ2000マシンに問題が起きた。

 ログオンするためのパスワードを忘れてしまった。つまり自分の家に入るカギを無くして締め出しを喰ったのだ。そこでやむなくウィンドウズ2000の再インストールをすることになった。

 なんでウィンドウズの話?と思うなかれ。徐々に本題に入っていきます。

■ インストレーションの複雑さ

 完了までに困ったことが色々あった。

 ・ CDからブート(起動)する方法を知らないこと。
 ・ ネットワークのカードのドライバーを持ってないこと。
 ・ ビデオカードのドライバーも持ってないこと。

結局は、BIOS設定でCDを起動ディスクに設定してインストール。その後愛用のマックでダウンロードしたドライバーをCDに焼き、ウィンドウズにインストールすることで解決出来たのだが、マックなら解決はもっと簡単。

 Cキーを押しながら起動すればCDからのブートは完了。本体にイーサーネットボードが内蔵されているからOS内のドライバーで即オンラインして他に必要な物があればネット上からダウンロードして完了。

■ でも皆さん「マックは難しい。ウィンドウズは簡単」という

 世の中の9割の人が使っているウィンドウズ。その中で、ウィンドウズ2000のセットアップが出来る人が何%いるだろうか?もちろんウィンドウズ2000自体が既に古いし、一般的なユーザーの使うものではないのだから少し話は違う。

 それなら、ユーザーの中でウィンドウズの問題を自分で解決出来る人がどれくらいいるだろうか?マックのトラブルシューティングを習うよりウィンドウズの方が簡単に覚えられる人が何人いるだろうか?

 ほとんどのユーザーがウィンドウズに問題が出た時にはお手上げになって”詳しい人”任せにせざるを得ないにもかかわらず、「マックはウィンドウズより難しい」と言う。この現実に、マイクロソフトのPRの上手さがある。

■ セットアップの煩わしさは謳わない

 マイクロソフトの宣伝を見ていると、ウィンドウズというものが”ある”状態の使いやすさしか謳っていない。一般のユーザーはパソコンを買ったらOSは”プレインストール”されていることを前提としている。後はエクセルとかワードとかIEが簡単に立ち上がれば「パソコンは簡単」なのだ。

 あまりにも当然の事に聞こえるが、一般のユーザーにとってOSって何だ?マイクロソフトの担当者はこう考えているのではないかと僕は予想する。

 「電子辞書のOSのインストールなんてやったことありますか?ないでしょう?パソコンだって一緒です。OSの存在は忘れてください。パソコンを計算機や電子辞書と同列で考えてくれればいいんです。問題が起きたら修理にだしてください。新しいOSが出たらパソコン買い替えてください。どうせ古いのでは遅くてすぐに不満が出てきますから」

■ その他の企業にでも言えること

 たとえば名前の通ったブランドメーカーの製品について「あの製品よりウチはもっと性能がいい。あの企業の製品を褒める奴らは、本当の良さが分からない感覚しか持ってない」という言葉を聞く。

 しかし、勝てば官軍ではないが、シェアが大きいことには変わりない。シェアが大きい=沢山の人が使っている=製品を使っても”問題が出ない”=安心感がある、とお客さんは考える。

■ 製品を使っても問題が出ない=安心感

 仮に中小企業製造のカー用品を例に挙げると、お客さんの心理としては、

「こんな知名度の低い企業の製品を自分の車に使っても平気かな?壊れるんじゃないかな?」

 という不安を持つ。企業側がなんと言っても不安を持つお客さんの心理は止められない。その他の企業でも一緒のことだ。色々と考えた揚げ句、多額の費用をかけて宣伝をやっている大企業になびいてしまうのは、長い歴史やデカイシェアに裏打ちされた「他の多くの人が大丈夫だったんだから、まあ安心していいだろう」という気持ちが働くためだ。

■ 安心感の与え方は中小企業と大企業では違う方法が必要

 中小企業が大企業とバッティングする製品を扱っているのだとしたら、そのお客さんの心理を理解して不安を和らげるPRの方法を考案しなくてはならない。

 それは実験結果かもしれないし、テレビショッピングで製品を皆の見ている前でバンバン飲んでみることかもしれないし、関連のありそうなイベント出展での実演かもしれないし、社長の人柄を見せることかもしれない。

 無数にある方法の中で最良の方法を見つける必要があるのだが、最も大切なことは、

 お客さんが・・・・

・ 大企業に感じる安心感と品質は無関係であること
  (お客さんは「大企業だから品質が良い!」とは思っていない)

・ 中小企業に感じる不安感と現実の品質は無関係であること
  (お客さんは「中小企業だから品質が悪い!」とは思っていない)

を認識すること。それを知らずに大企業と張ろうってのは、労力のむだ遣いってもんだ。

No. 71へ

CoBeat 2016 All rights reserved  企業を映画化する CoBeat