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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ ネット上のカスタマーサービス

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 インターネットをやるようになって、顔を見たこともない”知り合い”が沢山出来た。8年前に初めてインターネットをやった頃、チャットにはまったことがあった。その頃ネットをやっていたのは、日頃一人でパソコンを使うことが多いタイプの職業で、フリーランサーがほとんどだった。中には会社からアクセスしている人もいたが。

 ネット人格は温厚で明るい人ばかりだったが、ひとたび問題が起きると、チャットに使うウィンドウ以外に水面下でメッセージを飛ばしあうことが出来る機能を使って、ドロドロとした中傷合戦が始まる。そこでは今まで知っていたネット人格からは想像出来ない歪みがあったことを覚えている。

■ ”お問い合わせ”は怖い

 ネットで情報を広く発信出来るということは、当然不特定多数、様々な性格の人々とつながりが出来る可能性を持っている。そのなかには、困った性格のお客さんも多々ある。

 ・ 自分では何も調べず「知りたいことはすぐ聞く」タイプ
 ・ 自分でも調べるが、情報整理がつかずやっぱり問い合わせるタイプ 
 ・ ”電話で”と書かれていても、メールを送ってくるタイプ
 ・ ”アドバイス”をしたがるタイプ
 ・ 機嫌の悪いときには苦情メールを感情的に送ってしまうタイプ
 ・ HPを持っていて、そこで非望中傷の攻撃を開始するタイプ

 ざっとこんなタイプに別れる。この中で困るのは、最後の3タイプだ。

■ ネット以前には少なかった苦情

 例えばある製品を購入し、到着後部品点数を調べたら欠品があった場合。当然企業側の責任なので、送料は企業側負担で足りない品物を送る必要がある。この場合、以前であれば企業に電話をし、

「欠品があったので送っていただけますか?」
「それはご迷惑をおかけしました。早速お送りいたします」

で済む所、今はボルテージが一気にアップして脳天から湯気を立てて怒りだす人が増えている。

「ビジネスの常識として、欠品なんてあってはいけない!一度失った信用を取り戻すことは不可能だ。あなたの会社は最低だ!」

とメールを送ってくるお客さんが実際にいる。それが機嫌の悪いときだったりして、苦情を受けて電話をかけると、実は温厚な人だったりするそうだ。

■ 昔懐かし「東芝問題」

 困ったお客さんに、「あんたはクレーマーっていうの」と言ってしまったために、お客さんのホームページで経緯を公開されてしまったあの事件。詳しくは説明しないが、あそこまで影響はなくても、自分のHPを武器にするお客さんは多い。

 何か問題があり、企業側が適切な対応を取ったにもかかわらず、HP上等で、

「某○○社(伏せ字でも伏せ字の意味がない場合も多い)の何々を買ったけど、最低。発送方法は何とかだし、対応メールはどうのこうの〜」

 影響力はなくても、こう書かれると心配になる。また、その企業にメールをして「これからは私のHPで競合他社を宣伝します」と警告してくる場合も実際に見たことがある。個人でも”ヒット数”を持っているホームページの管理人はネット上での万能感を持ってしまう傾向が指摘されている。

■ アドバイスマニア

 困る中でも比較的相手にしやすいのがこのタイプ。

 常に自分は素晴らしい意見を持っていると思っていて、商品の改良案や、パッケージのアドバイス、パンフレットや販促ツールの誤字脱字や、言葉使い等を細かに分析してメールをくれる。正直言って、自分たちでも気付かない”問題”を指摘してくれる場合もあり、逆に有り難いお客さんとも言える。

 このタイプのお客さんには、丁寧なお礼をしておくことをお勧めする。なにしろあなたの会社に好意的であることは間違いないのだ。ただし、

「あなたの意見を尊重し、すぐに改良いたします」

と言うことだけは避けよう。大企業のホームページ等にはそういった”アドバイスマニア”が多いそうで、権利関係の説明ページに、

「アドバイスは基本的にはお断り。もししていただけた場合、それを採用するしないの決定権は弊社にあり、報告もしない。かりに採用されたような類似した商品が出た場合にもあなたのアドバイスとは無関係」

という項目が加えられている。これは、「オレのアドバイスが役に立って儲けているのに挨拶(報酬も含め)がない。訴えてやろうか!」という凄まじい勘違いをするお客さんへの対策だろう。

■ ネットで情報を発信するということ

 ネットで情報を発信すると、関心を持ったお客さんは問い合わせをしてくる。問い合わせを促すことが出来なければHPの意味がないのだから、これを嫌っては本末転倒。

 ただし、こまったことに中小企業には「サポートチーム」や特別に設置された課があるわけではない。当然通常業務の中に組み込まれていくことになってしまう。社員は一日問い合わせメールの対応を出来るわけではなく、営業に出ていたりして返答が遅れてしまう場合も出てくる。

 それを「対応がなってない」と怒るお客さんも出てくる。ネットで情報を発信するということは、こういう場合の対応の仕方にも気を配っておく必要がある。

 「私はお客さんだから」という甘えが日本人にはあるように思う。しかも、その甘えを人と話すことも顔を合わすこともなく発散出来てしまう社会になっていることは覚えておくべきだろう。

(とはいえ、ホームページでもメールフォームでもイタズラが出てくるようになると一人前という考え方もある。アクセス数が増えれば増えるほど、変なお客さんとつきあわなければならない機会が増えてくる。それは、認知度が上がった証拠ともいえる。好ましくはないが)

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