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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ 切り口の見つけ方がなんかヘン

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 宣伝広告を考える上で、”切り口”という言葉が多用される。その切り口の見つけ方がとてもトンチンカンなことがある。

■ パソコン教室のキリクチ

 切り口として「老人向け講座」が常とう手段になっている。

 老人=孫、という構図が1番最初に浮かんでくるらしく、パソコンを使ってできることの筆頭に、

 「お孫さんの写真でこんなことが出来ますよ」

と言ってくる。

 対象となる顧客のイメージが経営者の”老人への先入観”に傾くことが多いため、こんな切り口が出てしまうのだろうが、偏見と実情は異なると気付かねばならない。

■ 老人って昔はどんな感じ?

 僕の経験に限って言えば、おじいちゃん・おばあちゃんと言えば、なんとなくお香の匂いがして、ふかみどりや黄土色、濃紺の地味な服を着、縁側の日なたか、和室の個室にいて、必ずその部屋の1番テレビが見やすい位置に座っているという印象があった。しかもめったに動かないし、声も出さない。周りでうるさくすると、

 「テレビがきこえん!」

と怒る程度。あとは飯かトイレに立つだけ。お茶も定期的に運ばれてくる。その祖父は僕を含め、孫の写真を身辺に飾ったことは皆無。

 それなら今の60代ってどうなのか?

■ 今の60歳代ってどんな感じ?

 30代の僕の視点から、僕の子供の頃の”60代”と、今の”60代”は年は同じでも全く違う性質を持っている。確かに孫の写真を飾ったりするようにはなっているのだが、物事に対して昔よりソフトになって、自分の欲求を表現することに躊躇しなくなっている。別の言葉で言えば、やせ我慢が無くなった。だからまだまだ自分への関心が高い。

 この頃のお年よりはアクティブだ。明けても暮れても”マゴ、マゴ”とやるのではなく、孫も数ある楽しみの一部という雰囲気がある。そんな人たちが、パソコン教室でずらっと並んで孫の写真でカレンダーを作ることにそれほど価値を感じるだろうか?

 むしろ、ネットで演劇やミュージカルのチケットが安く買えるとか、旅行の予約やプランが無料で立てられるとか、趣味の情報交換と仲間が作れるとか、オークションでレアな商品が買えるとか、自分に関することをもっと教えてほしいのではないか。

 相手を既成概念に凝り固まった老人扱いしていたのでは、全くすれ違ってしまうのだ。

■ そんなこといまさら言われなくっても

 そんなこと新聞や雑誌で言われてることじゃないかという声が聞こえてくる。それはその通り。では、全く業種・商品・対象顧客層の違うあなたの考えている”切り口”は本当に効果的なのだろうか?

 業種を変えて見てみれば、この手の間違いはほんとうに多く、自分がその間違いを犯していないかを見直すことがとても大事だと分かる。僕がお付き合いしている企業の中でも、例えば4人の担当者のうち3人までがお客さんを正確に理解しているのにもかかわらず、1番決定権のある偉い人が困った人であるケースもある。

 他人がやっていることは目に付くのだが、自分の行動に関して客観的な視点を持つのはかなり難しい。あなたの切り口(売り方)は先入観に凝り固まっていないだろうか?

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