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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ X-BODY が見たいぞ!

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 X型の未来的な車が荒涼としたヨーロッパ風の街並みを走るCM。トヨタの「X-BODY」というコンセプトのCM。特設ページを見るかぎりでは、この名称は車種というわけではなく、あくまでもコンセプト。

 このCMの特徴は、以前にもこのメールマガジンで紹介したホンダと同じ手法だ。(http://cobeat.com/flyer/fly_0032.html
チラリと見える車体の一部、車の概念をひっくり返すようなX型のCG車。宣伝が大好きで割と正直に宣伝に反応する僕はもう11月9日の発表が待ち遠しい。完全にCM制作者の意図するままに操られている。

■ 見せないことが持つ力、ティーザー広告

 この手法自体は非常によく使われる方法で、ティザー広告と呼ばれている。
ティザー、つまり”いじめっこ”。もどかしさを使って注意をひく。

 このCMは想像力をかき立てられる。というより、特設ページを見れば分かるのだが、完全にお客さんを挑発する立場に立った宣伝になっている。

 「あなたの想像は、わたしを超えられるか。」

中小企業ではここまで自信満々の宣伝は難しいが、制作者はお客さんのあおり方を良く知っていると言わざるを得ない。こうして注意をひきつけておいて、何をしたいのかがとても気になった。

 ”話題”を作るために必要な「過去のものとの大きな違い」を持たせた商品を開発するのは当然のことでもある。自信満々で違いを主張出来れば、パブリシティー等でも面白い情報として取り上げられやすい。

■ 消費者再教育

 今、道路は車高の高いワンボックスカー類で埋め尽くされていると言っても大げさではない。一人で通勤するときも7人乗れる車で。買い物ももちろん7人乗り。以前は”営業車”と言われたワンボックスカーを”必需品”にまで育て上げた自動車業界が、今度は逆を始めた。

 実際自動車業界人のインタビューを見ると、セダンを売りたいと明言している。あらかた車高の高い車が行き渡れば、人と違うものを求めてより車高の高い車(外国製SUVしかない)か、より低い車に目が行くようになる。

 トヨタの特設ページを見ていると、タイヤを四隅に張りだし、重心を低くしてある車がX-BODYらしい。これを10日ほど見せられると、なんとなく自分が乗っているワンボックスカーが陳腐なものに見えてくる人が出てきても不思議はない。たったの10日で消費者を新しい価値観で再教育する意気込みを感じる。

■ 消費者再教育

  ネットを少し調べると、どうもこの車は”マークX”のようだ(確信はない)。マーク2の後継としての位置につく車がマークXであるらしい。仮にそれが本当だとしても、最初からそう言ってしまうと、

 「ふ〜ん、新しいマークIIか」

と思われてしまう。しかし、改名と同時にミステリアスな演出をすれば、全く新しい商品としてフレッシュスタートを切ることができる。そして、より多くの人を欲しがらせることが出来る。

■ 応用

 もちろんここで言うからには中小企業に応用出来なければ意味がない。

 新しいレストランの建設現場等で、何かが出来るんだけど何屋さんか分からない。何となく面白そうな建物で、気になるんだけど”○○建設現場”と分かりやすく書かれていない。そんな現場は多い。これも一種のティザー広告になる。

 ただ、もう少しひねって演出したら更に面白くなるかもしれない。例えば人通りが多そうな時を狙って、複数人、ファッショナブルなスーツ姿、身分証明書のカードのようなものを少し大げさなストラップでぶら下げてみたりして、威圧感はないが若干物々しい雰囲気を見せると、必ず人の目はひく。何かとても先進的な物事が始まるのでは?と期待も出てくる。

 今あるものをいかに演出しなおすかで変わってくることはとても多い。

 今回それが、とんでもなく違うものなのか、それともそこそこ違うが解説されなければ分からない(視覚的に一目りょう然でない)ものを、上手く演出しただけのものなのか?明日(11月9日)になればはっきりする。是非トヨタサイトで登録して、今回の宣伝の狙いを研究してみてほしい。

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