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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ ちょっと変わった会社

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 街を走っている時に、変わったトラックを見た。少し汚れた白っぽいタンクを積んだ車の横っ腹に書かれていたのは、 

 「すぐ来る」

 今回は、これが良いとか悪いとかそんな話をしたいわけではなく、この企業の体質について考えてみた。

■ トラックに大きく書かれる文字

 僕が注目したのは、トラックに書かれた文字ではない。この文字が書かれた背景だ。これが実現するには、

 「なんか書け!」
 「じゃあ、これを書く」
 「よし書け!」

という経緯がなければならない。トラックに大きな文字を書くということは、それを発注した企業と、受注したペイント屋さんがいるということ。つまり人のアタマと金がかかってるってことだ。大まじめでこれをやっている企業があるってことは注目に値する。

■ 「すぐ来る」って書け!

 僕が感心するのは、”トラックの横っ腹にでっかく「すぐ来る」と書く”ことを承認する経営者の決断力。

 好印象をねらったものでも、宣伝効果をねらったものにも見えない。これを見たからって問合せの電話をかけてくる人がいるとは思えない。そもそも走ってる車の横にかかれた電話番号をわざわざ覚えて電話してくるひともあまりない。実際、このトラックに電話番号が書いてあったのか、なかったのかそれすら覚えていない。それでもお金をかけて、自社の大切な資産であるトラックに「すぐ来る」と書く。

 一見ばかばかしい、誰もやらないことを先陣切ってやれる企業。これだけ思い切った行動を取れる経営者は多くない。

■ 大多数の企業の本質

 例えば、

 「イメージチェンジしたい!」

という社内の希望が出てきたとする。そこへ、今までに全く見たことがない、ほとんど実験的と言ってもいい程の新しいことを提案する人がいたとする。そうすると、たいていの企業では、

 「う〜ん、ちょっと斬新すぎるかな」
 「これ、受け入れられるかな」

という不安を持つ。結局この案はボツにされ、別の案に落ち着く。そしてこのタイプの企業に共通するのはこんな体質だ。

■ 他人の芝は青く見える

 イメージチェンジしたいという問題提起は、悪い意味で経営者側に既に”こうしたいイメージ”がある場合が多い。そしてそのイメージというのは、世間で既に認められている企業イメージの模倣だ。

 単純に「あの企業いいなぁ、格好良いなぁ、オレもあんなのがいいなぁ」という願望が”イメージチェンジ”という皮をかぶっている。他人の芝は青く見えるとはよく言ったもの。打ち合わせでも、自分がどこかで見た”あの企業みたいなイメージ”になるよう誘導していくことが多い。

 模倣されるものは、既に社会である程度認知されているので、実行に際してたいした決断力は必要ない。それに、みんなが真似するから、オリジナル以外は目立たない。

■ 新しいアイデアにチャンスをやる勇気はある?

 ”他社と違うものを求めています”という企業は多いが「そう言わなきゃ、能無しみたいじゃない?」程度の認識しかないのが見え隠れする。だから既に社会で認知されている方法の模倣を行って安心してしまう。

 奇をてらったアイデアが良いのではないし、人の新しいアイデアを何でも受け入れる主体性の無さは頼りない。ただ、行き詰まった時、手を出し尽くした後にすぐ模倣に走るのではなく、新しいアイデアにチャンスをやる経営者の勇気と決断力がいつか必ず必要になってくる。

 その準備(心と企業の体質の)は出来ているか?

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