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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ しあわせの並ぶパチンコ店

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 朝起きると目覚まし時計のアラームが商品名を叫びながら人を起こし、食卓につくと、新聞の至る所に宣伝があり、折込みがあり、テレビをつければ、テレビ宣伝がはいる。ネットにつなげばバナーが表示され、DMが配信され、街をあるけば、目に付く全ての所にビルボードがあり、街行く人がその会社のTシャツを着ている。

 良い悪いは別として、露出度が高ければお客さんの頭のなかに社名・商品が残り、ひょっとすると購買につながるかもしれない。だが、はたしてこれを実現するのにいくらかかるんだ?中小企業に可能なのか?それ以前に、こんなに広告しなければならないのだろうか?

■ 広告の頻度

 「広告は定期的に打たなければ効果がない」

 これは、多くの広告代理店が口にする言葉だ。しかし、広告の中にも色々な種類がある。ここでは中小企業・零細企業に限って見てみる。

 ・ 「毎週型」広告
 ・ 「毎週ではない定期的型」広告
 ・ 「低頻度型」広告
 ・ 「あきらめ型」広告

■ 「毎週型」広告

 これについては今更説明する必要はないが、念のため。
 地元に根づいた商売で、定期的(時事的な要素を加えて変化をつける)に宣伝をする。例えば、ホームセンターやスーパーマーケット、薬局といったところだろう。

 この広告は、もはや「買ってください」という広告本来の呼びかけから外れ、備忘録な印象に変わっていく。夏が近づけば「そろそろレジャーの準備にいかなきゃ」、正月が近づけば「あ、正月の準備に行かなきゃ」となる。お客さんもその店を訪れることに何の抵抗もなく、当然の事のように買い物に出かける。ここまで来れば宣伝広告は成功といえるが、予算的にも莫大である。

■ 「毎週ではない定期的型」広告

 月に2回、もしくは1回のペース。印象的な広告を行えば、このペースでも記憶に残る可能性は高い。前出の「毎週型」広告ほどの備忘録的なレベルまでの浸透率・親近感はないものの、気になる会社になる。この広告は、頻繁に利用するようなサービスではない会社に多く見られる。

■ 「低頻度型」広告

 数カ月に一回入ってくる広告。なじみは薄いが「この広告の雰囲気はみたことがある」程度の覚えられ方をする。しかし意外にこの広告の効果は高い。業種的には、上記の「毎週ではない定期的型」広告に似ているが、予算的な関係でこの選択になるようだ。この頻度なら、折込みだけでなく地元新聞等への掲載も効果がありそうだ。

■ 「あきらめ型」広告

 これは、今まで宣伝広告を必要としてこなかった業種で、事情は様々だが突然に宣伝広告の必要性を感じ、暗中模索で宣伝広告を打ったものの全く反響がなく、「宣伝広告は無駄」とあきらめてしまったものだ。このタイプの会社が実はかなり多い。あきらめてしまってはいけないのだが、どうせやるならしっかりした計画性を持って行わなければ会社の首を締めかねない。

 今回話題にしたいのはもちろん4番目ではなく、3番目の「低頻度型」の広告を打っているパチンコ店だ。

■ 首をかしげるパチンコ店広告

 まったくパチンコをやらない僕だが、パチンコ店の宣伝広告には首をかしげるものが多い。折込みはパッとみてどこのお店なのか識別出来るのが理想だ。

 ところがパチンコ店の広告というのは「新台入荷」といった、台そのものを宣伝していることが多い。それは「大好評の○○が、新しくなってパワーアップ!」といったものだ。しかし、この台がこのパチンコ店オリジナルでなければ、どこの店もこの台を導入することだろう。そうなると、お客さんのアタマには「こういう台が出たのか。前のシリーズも良く出たから行ってみよう」と最寄りの店を思い浮かべるかもしれない。せっかく広告したのに、「あの店へ」という特定が生まれない。

■ 地図があっても見ないかも

 「台」を宣伝するのも業界宣伝であれば良いのだが、広告の隅にはちゃんと地図が書いてあるのだから、特定のお店の宣伝のはずだ。肝心の地図は見てもらえて初めて効果を発揮する。しかし残念ながら地図を見てくれるのは、広告を見て店に対して興味を持ってくれてからなのだ。つまり、この場合、お客さんは「台」に興味を持っても「お店はどこにあるんだろう?」と思わない可能性も考えておかなければならない。

■ 「しあわせ」とパチンコ

 地元のパチンコ店のなかで1店だけ「うまいなぁ」と思える広告を「低頻度型」で折り込んでいる店がある。その店のチラシのおもて面は赤地に、特徴的な白い文字で「しあわせ」という文字が無数にランダム配列されている。一見何の宣伝か分からない。


(教材的目的で借用しました。問題があれば取り下げます)

 表はただそれだけ。そして裏には他の店と同じような「新しい台が入荷!」という内容があるのみだ。

■ 徹底したイメージ統一広告

 単なるデザイン的なインパクトで完結していたら、誰も感心しない。この店の着眼点の素晴らしさはここからだ。写真をみていただけた方には分かると思うが、この「しあわせ」ロゴ(?)にはかなりインパクトがある。一度見たら忘れないロゴだが、この店は同じデザインを実際の店の看板にも用いている。

 街を車で走ると、あの「しあわせ・しあわせ・・・・」が高く掲げられた看板に出くわすのだ。看板は店の前にあり、「あ、あの面白い広告の店はここだったのか!」と、一種の親近感を感じる。この看板ははパチンコをやらない僕にも「知ってる店」という印象を与えるのだ。

■ 店の広告+新台の告知

 この店は広告と、実店舗のイメージ的な連動によって、他店のような単なる台の宣伝にとどまらず、「あの店に新台が入った」という広告本来の目的である自店の宣伝も確実に行っている。

 このメールマガジンでも何度も言っていることだが、「このイメージで失敗したから次はこれ」とコロコロ方向を変えていては、お客さんに覚えてもらえない。より効果的なアタマに残る方法を考案し、実践しなければ広告は無駄になる。

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