■ 全部見せます、読ませます
メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。
細かい字で「いかに自分の会社のサービスが良いか!」と滔々と書いているチラシがある。
しかし、どうしても言いたいことがあるのに、図で説明出来ない。または、イメージ宣伝では伝えられない「オトク感」を出したいと言うときは、言葉と色を使わざるをえない。そんなときどうすればいいのだろうか?
■ よく使われる方法
このメールマガジンの7回目「怪しい魅力と魔力の広告」
http://www.t-rivers.com/flyer/fly_0007.html
で、全部読ませることなく流し読みを最初から想定して「要点を理解させる」方法を紹介した。この方法も有効なのだが、弱点は飛ばし読みをしてもらえなければそこで負けてしまう所だ。
出来ることなら目をグッと惹きつけ、文字を読み始めたら最後まで読ませてしまう宣伝をやりたい。
■ う〜む、さすが・・・
ある朝、毎朝の日課であるチラシチェックをしていたら、久しぶりに「こりゃ〜いい!」とうならせるものが出てきた。それは、ヤフーBBの宣伝広告だ。
このチラシ、左下に「いっぱい!!0円!」と目立つ言葉が入っていて、ここに最初に目が留まる。
いったいなにが”いっぱい!!0円!”なんだろう?
そしてトップに目をやる。背景は鮮やかな黄色、トップに赤い大きな文字で「もう、試されました?」とかかれた下に、何と11行もの説明文がぎっしり書かれている。言葉で書くと、
「ぎっしり11行なんて、誰が読むんだ?」
と思うことだろう。しかし、写真を見てもらえればその仕掛けに驚くはず。
■ 大>小への移行
誰でも興味のあるものは、多少細々とした説明があっても読む。読み始めれば文字数なんて気にならない。ところが、興味ない事柄が細かく説明されていたらどうだろう。そんなものを読んでくれる人はいないだろう。
このチラシ、「もう、試されました?(このコピー自体はもう少しなんとかなりそうだが)」という見出しを読むと同時に、次の行の「時間や距離を気にせず話せる」まで読み終わる良いバランスを持っている。そして、この2行目はトップのコピーより若干小さめの文字サイズになっている。
以降、文章は続いていくのだが、1行毎に文字がどんどん小さくなっていく。そして、いい加減疲れてきたところで文章は終了。11行読めている。
■ 興味の度合いに合わせた文字サイズ
重いものを押すとき、1番力がいるのは物が動く瞬間だ。これは、チラシを見るお客さんを動かす時も同じこと。
1.お客さんがチラシに目を止める(力の入れ始め・力最大)
↓
2.「おっ!?」と興味を持ち読み始める(動き始め・力最大)
↓
3.「ふむふむ」と読み続ける。11行。(動いた後・力不要)
1〜2を成功させれば、3に力を入れる必要はない。上記の順番をこのチラシのデザインに当てはめてみると、
1.大きく短く目立つ見出しで、流し読み対策
「もう、試されました?」「いっぱい!!0円!」
↓
2.なにやら得しそうな事が書かれた本文。
文字サイズは目に優しい超大型から始まる。
↓
3.長くても、最後まで読める文章。
字はどんどん小さくなっていく。
このように、転がり始めたら力を抜く。それがデザインになっている。
■ ちゃんとお客さんの事も
ハッキリ言って、黄色い原色の背景は目が疲れる。目立つが読むのは苦痛。お客さんに苦痛を与えるような宣伝は、100%伝わらない!
そこで、このデザインの優しさに注目したい。真ん中よりちょっと下の部分が白の帯情になっているのが分かると思う。帯はロゴを目立たせるために有効なのだが、黄色に黒太の文字を読み続け、お客さんがちょっと血圧上昇を感じはじめたときに「スッ」と抜いてあげる。それがこのクドクドしいチラシに爽やかさを与えている。だから、疲れにくい。
僕は「説明しすぎはいけない」とも言うが、当然場合によっては「言う必要がある」「言っておくべきである」時もある。それを目を引く写真やオバカイラストに逃げず、様々な方法を考えることが大切になってくる。