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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ もう飽き飽き!にならない策

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 最近気に入っていたデザインは、漢字を上手く使ったものだ。とかくデザインというと横文字に走りがちなのだが、力強い漢字のフォントを基本にコントラストの強い色の組み合わせをしたものなど、日本語の奇麗さを再確認させられることが多かった。

 ちょっとしゃれたお店のロゴなどは、書家が書いた毛筆の字体がそのままデザインになったものが多い。木造りの建物に、墨で書かれた文字のロゴ、これは親近感がわいた。

■ 過去形の理由

 冒頭は、全て過去形で書いた。その理由は、最近その種のデザインが飽きられつつあるためだ。

 今では「和風」といえば、自動的に「書家の毛筆ロゴ」と発想し、それを熟慮せずそのまま使ってしまう程に思考が短絡化している。困ったことに作る側も”世間で認知されたものや、人気のあるものを提供しておけば間違いないし手間いらず”なため、妙な所で利害が一致してしまっている。

 長期的な利益を考えれば、”今増えてきているものに迎合する”のは非常に危険だと言える。しかし、新しいものを積極的に求め、取り入れるというのは出来そうで出来ないことなのだ。たとえ「ウチの会社は変わったことをするのが好き」と言っていたとしても、本当に独創的なことはできない場合が多い。

■ 「飽き」とは何か

 ここで、物事に飽きてしまう構造を考えてみる。

 氾濫する同種のものに、人はすぐに飽きてしまう。しかし、それも当初は独創的であったはず。では何が変わったのか?

 独創的なものをはじめて見た時の感動というのは、今まで人間のアタマの中になかった新しい刺激によってもたらされる。刺激というのは、色かもしれないし、形かもしれないし、または音かもしれない。今までにない新種の波長が脳に心地よい刺激として伝わると、感動になる。

■ 刺激が陳腐化してしまう

 例えばアメリカの音楽の1ジャンルである「ラップ」が10年程前日本に入ってきたとき(それ以前からラップはあったが、本格的に日本語に移植されたのはこのころ)、その一風変わったリズムと、途切れることのない言葉の波に快感を感じた人が多かった。

 ところが、ミュージシャンだろうが、アイドル、タレント、CMソング、等々等々、だれかれかまわず真似をし始めたとき、その刺激は陳腐化され脳は快感としてそれを処理しなくなる。つまり、反応しなくなってしまうのだ。

(今テレビには、誰が歌っているのかさえ分からないような同種の声、メロディー、歌詞の曲が氾濫しているのにもかかわらず、これがなかなか消えていかないのは不思議の1つだ。「それしかなければ、適応せざるをえない」のかもしれない)

■ 「飽き」と「慣れ」の違い

 「飽き」によくにた感覚に「慣れ」がある。

 「飽き」というのは微かに嫌悪感を伴い、「慣れ」というのは嫌悪感を伴わない所に大きな違いがある。

 どちらも最初は「感動」を与えていたのにもかかわらず、片方は嫌われ、片方は生活の一部になっていく。

■ 飽きられないためには

 飽きられないための最良の方法は、シンプルさを保つことだ。

 たとえば、トヨタ自動車のロゴが「カッコ良さ」を狙ったものだったらおそらく飽きられてしまっただろう。ところが、以前はシンプルに赤字で「TOYOTA」と書いただけ、今は楕円を配置したシンプルなデザインが加わったものの、派手さはない。ただし、製品(車)は派手に作ることも可能なので、世の中の「飽き」に対しては、製品の改良と新製品で対応していく。根幹のロゴが飽きのこないシンプルなものなので、たとえ製品が飽きられても変更がきく。いずれにしても新製品の開発は必要不可欠なのだから。

 シンプルにすると初期のインパクトは低い。しかし、継続して使われることで記憶に残り、初期インパクト以上の仕事をするようになる。しかも、真似されないため、同種のものの氾濫の被害に遭うことも少ない。

■ 昔の人は良く言ったもの

 「シンプル・イズ・ベスト」

 そんなことは分かってはいるんだけど、いざ自分の事となると見えなくなってしまうもの。

 「カッコ良くしたいなぁ」「目立ちたい」「人にカッコ良く思われたい」

 誰でも思ってしまいがちな事だが、これでは長生き出来ない。長生きできないものは「飽き」という嫌悪感を伴う感情を持たせてしまう可能性がある。

 やっぱり何事も、シンプル・イズ・ベストを基本にして積み上げていくことが必要だと感じる。

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