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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ とりあえずインパクト?

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 宣伝を行う企業の経営者(担当者)が呪文のように唱える単語が、

 「インパクト(インパクト感って言葉もあるんかな?)」

だ。インパクトというのは”どど〜ん!”と迫り来るようなものを希望する場合が多い。そうなると当然デザイン的に文字なんかも「立体で、遠近感があって、どど〜んと迫ってくる大きな文字」になる。

■ ローカルコマーシャルだからOK?

 岐阜のローカルテレビコマーシャルにこんなのがある。セキュリティー会社の宣伝だ。

 電車の中で、ガードマンらしき服装をした男が、客席に座っているピンクのぴったりとした服を着た”お色気姉ちゃん”をどこかへエスコートしていく。

 撮影されたのはいつなのか、お姉ちゃんの服装はバブル期に流行った懐かしい”ボディコン”だ。その彼女がクネクネしながらエスコートされていく。それで、売っているのが「セキュリティー」だから困ってしまう。

 何かの調査の結果、この会社の顧客層である中小企業経営者が「お色気」に反応する傾向があったのか、「なんでもいいからインパクト」狙いなのか。いずれにしても、商品とイメージがちぐはぐだ。

■ と思ったら・・・・

 前述のコマーシャルの直後に同社CMの別バージョンが放送される。そちらは前者と違って面白い。

 舞台は前者同様電車のなか。それほど高くない乗車率の車内に、50歳くらいの男と、20代後半くらいの若い男がつり革につかまって立っている。50歳の男は、落ち着かない様子で隣りの若い男をちらちらと見ていたかとおもうと、突然彼の腕にヒッシとしがみつき、かぶりつくような視線で

 「あなたの会社のお役に立ちたい!」

と若い男の顔を凝視する。同じ会社のコマーシャルでこの違い。

 両コマーシャルともインパクトという観点からは”強い”と言えるが、問題はそのインパクトの質だ。後者のCMの方がこの会社のサービス内容を踏まえて考えてもPR度は高い。

■ 間違いはどこにあるのか?

 たとえばインパクトの宣伝で最もパワフルなのは、「パチンコ店」のチラシだろう。概ね、多色・暖色が使われ、文字も、大きく角張った太めの力強いものを使う。背後で炎がカマの中のようにめらめらと燃えている場合も多い。

 パチンコ店と炎の背景。これは理にかなったデザインだと言える。ところが、問題はこの種のインパクトを自分の業種にも転用したいという要望が出てくるところ。もちろん「炎が欲しいわけじゃないよ。ただ、こんなインパクトが欲しい」と言う。そりゃあ業種とその会社が欲しいイメージによっては自爆行為。

■ インパクトは「派手さ」がキーではない

 残念ながらインパクトは「派手さ」と同列で見られることが多い。しかし、インパクトというのは、ただ派手にすればいいというわけではない。

 たとえば、派手派手の格好をした人達ばかりの中で、一人だけ白いTシャツにジーンズだったらインパクトもあるし、目立つ。

 紙面のほとんどが真っ黒で、隅っこに小さく白く何かの文字が書いてあれば、迫力もあるし「何だろう?」と思われる確率も高くなるし、隅っこの文字も目立つ。何よりインパクトがある。

■ 欲しいイメージとアピールしたい層の一致

 広告主としては「インパクトがないと目に止まらない」という心配があるのは分かる。しかし、外れたインパクトのある広告をすることで「なんだこれ、趣味悪い」と思われたら、なまじインパクトがあったために、より多くの人に悪印象を与えてしまう結果になる。

 そんなことならインパクトが無かったほうが良い。もとより、わざわざお金を使って宣伝する必要もなかったはずだ。

 まずは、自分の会社を世間にどのように認識してほしいのか?どんな趣味、ライフスタイルの層に認知されたいのか?、そこを自分自身がはっきり認識してほしい。そうでないと、「インパクト、インパクト」と的外れな方向を向いてしまう恐れがある。

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