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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ 個性に走れば角が立つ!?

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 個性的でいる、独創的である、この裏には実は気をつけなければならないことがある。個性的”過ぎる”ことは、危険でもあることを乳児の行動から考えてみたい。

 子供ってのは、ほんとに不思議な生き物だ。何にも教えていないのに不思議となんでも出来るようになる。僕も自分の息子を得て1年半になるが、その行動の面白さといったらない。

 特に僕の注意を惹いたのは、

 「この世のデザインは言葉がなくても伝わる不思議」についてだ。

■ 「もぉ〜。だめだって言ってるのに!」

 親になった方なら誰でも、

 「もぉ〜!ダメだって!」

 が口癖になっている自分に気付くに違いない。子供は四六時中動きまくるし、目につくものは全て触る。ただし、僕らはここで”動く子供をどう止めるか?”なんてことに目を向けていてはいけない。

■ 何を触る?

 子供を見ていると不思議だ。触るものは注意して見ていないと、ただ手当たり次第にしか見えないが、実は違う。ある日の行動を見てみる。

 部屋の中をフラフラ歩いていったと思ったら、ビデオデッキのイジェクトボタンを押し、ビデオテープを取りだす。ふと赤いダイオードの光に目が留まり、電源ボタンを押しまくる。表示板の電気がついたり消えたりするのが面白いらしい。

 今度は隣にあった節電タップが目に入る。スイッチの赤いダイオードが点灯している。そのスイッチをパチパチとしつこくオンオフする。

 すぐにそれに飽きると、今度はテーブルの上にあったリモコン類が目に止まり、手に取って遊びだす。概ね右上にある電源ボタンを押すと、テレビが「ぱちっ」という音とともにスイッチがはいるのを聞き、満足そうにこちらを見る。

 これを全て書いていてはキリがない。

■ この行動から分かること

 子供の目に留まったものを挙げると興味深い。

・ ビデオデッキのイジェクトボタン
・ 赤いダイオード
・ 電源ボタン
・ 節電タップスイッチ(赤いダイオード)
・ リモコン、電源ボタン
・ ボタンに反応して「ぱちっ」となる音

 つまり、大人が「目に付きやすくするためにデザインしたもの」が結構うまく機能していることを示している。

■ これは本能

 イジェクトボタンは、分かりやすく他のボタンから離れている。だから目立つ。

 ダイオードの「赤」は一番目立つ色。電源ボタンは、イジェクトボタンと同じく他のボタンから離れたところで独立している。これも目立つ。節電タップのスイッチも同様。

 リモコンの電源スイッチは、「押してくれ」とばかり右角で緑色(ウチの機器の場合)で少し大きめに作ってある。だから自然に触ってしまう。

 そして、ボタンを押すという行動にダイレクトに反応するテレビの「ぱちっ」という音。このダイレクトさが楽しい。

 人間がものを見るという行動が、教えられたものではなく、本能として備わっていることを実感する。

■ 個性に走れば角が立つ

 例えば何かをデザインするとき「個性」を重視することがある。絵画等の”作品”であれば問題ないのだが、こと広告となるとある程度の「一般性」を有していないと、受け手が困惑してしまう。

 例えば、テレビのリモコンで怪獣の形をしていて、アタマが電源、目が音量、みたいなものは面白いかもしれないが、誰にでも伝わるメッセージとしては非常に弱いと言わざるを得ない。

 「個性に走れば角が立つ」と言ったが、独創的かつ人々にスッと受け入れられるユニバーサルさを発明出来ることに越したことはないのだが、それはかなり難しい。であるなら、人間が本来持っている習性を上手く利用することは、効率的にも目的達成のためにも一番の近道であることが分かる。

 目茶苦茶個性的であることは必要だが、たまには譲ることが必要な部分もありそうだ。

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