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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ 若葉マーク進化論

 意外なものが流行ってしまうことがある。僕の世代でも理解出来ないことが、僕の下の世代では「カッコイイ」ことになってしまうようだ。そういうことは『いまどきの若者は・・・』と言っていては話にならない。もっと観察して、楽しみながら勉強してみるととても面白い。

■ 90年代初頭の若者の車文化

 僕が10代後半の頃はちょうどバブルが弾けようとしている90年代初頭。皆が無理して高級車を買っていた。高級車にキラキラと派手なカーステレオ、そしてスモークを貼って、少し”悪っぽく”するのが流行っていた。

 当時は今ほど車検制度が優しくなく、社外部品の品数は少なく、しかも高く、もっと言えばネットが無かったから中古の市場も無いに等しい程だった。だから、車高を落としたいといえば平気でバネを切っていたし、いちいち車検が来るたびに”元通り”にしたり、今では大したことない改造でもお上の公認を取る人までいた。

■ 今の若者の車の好み

 中古市場が爆発的に大きくなり、同時に規制緩和で女の子までが車の”ドレスアップ”にお金を使うようになってきた。中古車販売店にも”改造済み車”が豊富に出回り、昔僕らが憧れたバブル後期の高級車が今やヨレヨレの中古車になり、パソコン1台買う程度の価格で売られている。

 とはいえ、若者の好みは変わっている。ワンボックスカーが市場を席捲、スーパーカー世代からは信じられないが、数々のスポーツカーが消えていった。そんな中に妙な変化が現れている。

■ 元超高級車(EX-VIP カー)ブームの影で

 今はセルシオだろうが、BMWだろうが、7〜8年前の中古高級車なら100万円以下で買える。維持費にいくらかかるとか、どのくらい痛んでいるか、そんなことは無視してとにかく買える。そういう高級車ブームを僕はEX-VIPカーブームと呼んでいるが、その影でうれているのは、

 「タクシー仕様の黒塗りセダン」

だ。異様に車体中央に引っ込んだ細身のタイヤ、今では一般的な車には殆ど見られないフェンダーミラー、車体のサイズを変えず車内を広くするため、グラマラスな盛り上がりがほとんど無い薄いドア、デザイン性を無視した妙に立ち上がった前後左右の窓、1ボックスカーなら納得のコラムシフト。

■ 理解の外の”カッコイイ”感覚

 僕にとっては全くカッコ良さを見いだすことが出来ない”タクシー”。これに乗っているのが、ちょっと悪ぶった若い男性だったり女性だったり。しかも「車なんかなんでもいいや」という投げやりな態度ではなく、どうみても愛車なのだ。悪ぶった人達ってのは、概ね前世代的なので、これを”今の若者の流行り”として考えるのは急ぎすぎだが、実際そういう市場がある。

 こういう感覚を理解する必要はないが、知っておく意味は大きい。

■ 若葉マーク進化論

 新車文化の極み、と僕が興味を持ってみているのは、若者の持つ若葉マークの感覚だ。

 僕の免許取りたての頃は”若葉マーク”は重い十字架だった。特に僕は自動車学校へ行かず、試験場へ直接行って免許を取ったため「自動車学校組とは違う」という、的外れな優越感を持っていた。とにかく恥ずかしかった。

 ところが今、若者の中で(中部限定かもしれないことだけお断りしておく)若葉マークが一種のファッションになっている。

■ 若葉マークの貼り方で”差別化”

 ある若者は、若葉マークをボンネット中央に2枚、先端を合わせ扇型に貼り付けた状態にしていた。目立つなんてものじゃない。ついでにお尻側にも2枚ハッチバックに貼られていた。本人はトクイ満面。法を守っているのだから、誰にも何かを言われる筋合いはない。

 その他”走り屋風”の車に乗っている、ちょっとやんちゃそうな兄ちゃんもしっかりとフロントに若葉マークを取り付けていた。ただし、かっ飛ばすタイプの人がダッシュボード等に付ける追加メーターの背面に貼り付けられているから、”若葉マークだから、ゆっくり走ります”という宣言と全く別のメッセージを発しているのはご愛嬌。

■ 目をそらさない

 もしこういう若者の行動を避けて通るような年代になってしまっているとしたら、是非とも止まってよ〜く観察してみてほしい。本人達は”ウケ狙い”でやっている場合もあるが、多くは大まじめだ。だったら、かならず理由がある。どこかに”これはいい!”と共感しているはずなのだ。

 であれば、その点を観察してみることで、色んな年代の不思議を”事実”としてデータ化することが出来る。色んなものを見た方がいいね。

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