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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ 宣伝は微妙なバランスを持っている

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 テレビCMに多くみられる、微妙な問題がある。最近、生命保険のコマーシャルで、

 「結婚して保険金の受取人を妻の名にした
  子供が産まれて保険を増やした」

 これで人生の充足感を味わってしまった男性のストーリー。

■ このCMをみていて感じた

 この男に僕はあまり共感を持てない。それより疑問が湧いてきた。

 「この男はなぜ死ぬことばかり考えているんだ?」

 この男は、自分が死ぬことでしか将来のことを考えていないような気がした。それに、人との信頼関係を保つ役割を”生命保険”に持たせている。その申し込み書を妻や子供に対しての契約書のような感覚でとらえているように見えて仕方がない。どこか寂しく寒い思いが漂う。

 保険をあたかも前向きにとらえたように見えるが、実はとても後ろ向きで、後味があまり良くないCMなのだ。

■ もうひとつ

 消費者ローン(サラ金)の宣伝を見ている時の感覚。

1. ”男がショーウィンドウの中のものを見ていて欲しくなる”
2. ”彼女の前で「一回で!」と借金する”
3. ”CMの終りに「ご利用は計画的に!」と念押しされる”

 この全ての場面で、

1’. 「お金を借りてまで欲しがるってどうなんだろう?」
2’. 「見栄で『一回で!』と言ってもやっぱり借金だよな」
3’. 「なんだかPL法対策の製造業にソックリ」

と現実に戻される。これらの宣伝を見ていて、僕にもたらしたのもは倹約と見栄のない生き方のすすめ。反面教師になってしまっている。

■ なぜこういうことが起きるのか?

 保険にせよ、借金にせよ、消費者が「見直しムード」になっている傾向がある業界だ。書店に行けば、さすがに「サラ金はやめましょう」とは言わないまでも家庭のファイナンシャルプランの本が山とつまれている。賢いお金の使い方、保険を見直しましょう、そんなタイトルが山とある中で、

 「保険を増やして安心を」
 「欲しいものは今すぐ買える」

 と言ってしまったら、思考のスイッチが逆に入っている、または入りかけているお客さんに考える切っ掛けを与えてしまう。

■ 宣伝広告のバランス

 売りたいものをあまりに前に押し出し、自分たちがお客さんに”こうしてほしい”と思うことを、さも良いことのように吹聴すべきではない。前回の「お客さんの知性を軽視するな」で触れたように、お客さんは普段から多くの情報に触れている。

 その中から間違った情報だけにしか接触する機会のない人もいるだろうし、意図的に自分の好きな情報だけしか見ない人もいる。概ね宣伝に乗ってしまったほうが面白おかしく暮らせるから、なかなか冷静な視点でものをみるということは我慢がいる。

 しかし、僕の予想では今言ったようなメディアに振り回されるタイプの消費者は今後減っていく。大企業が大手広告代理店と行うCMですら相手をここまで見誤っている。厳しい環境に少人数で挑んで切り抜けている中小企業の方が現実に対して賢くなってきているとも見ることが出来る。

 大企業よりお客さんに近い中小企業にはチャンスが隠れている気がしないだろうか?

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