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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ プロ野球騒動の勝者は誰?

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 プロ野球界が大騒ぎをしている。プロ野球始まって以来初のストに突入した。僕はプロ野球に全く興味がなく、この件に関しては詳しくないのでコメントをする資格はない。

 しかし、今回のこの大騒動の勝者は誰なのか、興味がないだろうか?

■ 選手でも、球団でもない

 この騒動の勝者はまぎれもなく、あのベンチャー2社と言える。

 ライブドアと楽天

 この2社。結局プロ野球球団は持てない方向になっているのだが、この2社、鼻っから球団運営なんてどうでも良かったのではないか?と僕は予想している。もちろん球団運営をやれるとなれば本気でやるつもりのはず。(にしても、サラ金が良くてベンチャーがいけないってのは納得いかないが、体質が古い(よく言えば慎重)のがここで露呈している)

■ 要求が通らなかったのに勝者とは?

 今回、このベンチャー2社にはマスコミが殺到。毎日のようにプロ野球関連のインタビューが行われた。このインタビューの中では、この2社の仕事に関する質問は一切なく、球団作りについての質問一点張りだった。企業が扱っている”商品”が何も出てこないのだから、一見なんの宣伝効果も無いようにみえる。

 しかし、これだけの露出をお金を出して買ったとしたらいくらに換算できるだろうか?それこそ目玉が飛び出る程の金額になる。この2社はそれだけの”宣伝広告”を無料で獲得してしまったのだ!これが勝者でなくてなんと言う。

■ プロ野球球団作りに名乗りを上げた効果

 プロ野球ファンの中には、ネットをやる人もやらない人もいる。しかし今回、ネットに興味の無いプロ野球ファンでも、

「ライブドア??楽天??なんだそれ。なにやってる会社?」
「あれはその、なんて言ったっけ。インターネットかなんかの会社だろ?」
「へ〜。そうなのか。で、何をやってる会社?」
「まあ、よくは知らないんだけどナ」

 この程度の認識は持ったに違いない。そもそもネットを活用している人の中でも、この2社の事業について正確に知っている人の方が少ないのではないかと予想されるのだが、とにかく知名度があがるのに越したことはない。

 インタビューの中で出てこなかったこの2社の”商品”については、お客さんの好奇心にまかせておくことで勝手に見つけてくれる可能性も高いから、何も心配することはないのだ。

■ パブリシティー

 ご存知の通り、これはパブリシティーと呼ばれる一種の宣伝手法。例えば大型小売店で年末に募金を行うことがある。そこで集まったお金をどこかの団体に”全ての募金者の代表”として寄付する。それを新聞社やテレビ局が取材する。

 集まったお金はこの企業が出したお金ではなく、個人から集めたもの。募金した個人は金額の大小に関わらず表面にでることはない。それを”募金の主催者=募金者代表”となることで新聞・テレビでの露出を獲得する。社会的にも好印象なのでプラス効果は大きい。

 有名な「24時間テレビ」にも代表されるように、企業も善意だけで募金を企画しているわけではないのだ。これも立派なパブリシティー。大企業のこんなメディア活用は、一見事業と無関係のことをやっているように見えるため、比較的スムースに好意的に受け入れられてしまう。新聞やテレビを真正面から見ていても気付けない。

■ 中小企業にできること

 自分の商品を宣伝することだけを目的としてパブリシティーを望んでも中々相手にしてもらえないが、切り口を変えれば簡単に取り上げてもらえる方法もあることを知っておきたい。

 今回のような大々的な機会を狙って自社の利益にすることは中小企業には難しいが、細かい所にアンテナをはっておくことで必ず機会は見つかるはずだ!

(*後日談

結局「楽天」の勝ち。その後、ソフトバンクがホークスを買収し、ライブドアは公営ギャンブルへ。”アダルト”問題で落選したライブドアは「ギャンブルなら文句ないだろう」とばかりの別分野への進出。IT時代のプロ野球戦略に注目。)

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