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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ 禁煙のかけひき

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 今回は愛煙家の方には耳の痛い話。

 無視出来ない事実として世界は「嫌煙」「分煙」「禁煙」に向かっている。とはいえ、ここで禁煙論をぶち上げるつもりではないので、愛煙家の方も最後まで読んでみてほしい。

 クジラがほとんど食えなくなった。
 家庭でゴミがほとんど燃やせなくなった。
 フロンが使えなくなった。
 ディーゼル車に乗れなくなる。
 電話加入権が無価値になる。

 世の中の問題は双方の言い分を満足させる方法では解決されていかない。好むと好まざるにかかわらず「嫌煙」もこの動きの中に含まれている。喫煙に関する論議は決着を見ないまま、近い将来なかば強引に嫌煙家に軍配があがることになる。経営者はそれから対策を立てていてはもう遅い。

■ 喫煙に関するクレーム

 喫煙への世間の不満は、昔に比べかなり露骨で厳しくなってきている。

 完成寸前の新築家屋の中で大工がタバコを吸いながら仕事をしているのを施主の妻が目撃、『こんな家、もういらない!』と大騒ぎになった。

 通販で買った子供用の衣類。届いた箱を開けてみると、タバコの臭いがついていた。お客さんは怒って返品(交換ではなく)したが、当の通販会社の倉庫は完全禁煙。調べてみると運送会社のドライバーが車内でタバコを吸っていたことが判明。2社間の問題なので、その後の経緯は不明。

 ある事務所は接客の場での従業員の喫煙に規制がなく、契約に訪れたお客さんが不快感を持ち、契約寸前で話が流れてしまった。

 その他、飲食店に禁煙席がないと帰ってしまうお客さんが増えたり、タクシーのドライバーが喫煙者だとお客さんが拒否してしまうケース等、枚挙にいとまがない。

■ 喫煙者の視点から見た努力に疑問

 あるレストランではお客さんを客席に案内するとき、

 「おたばこお吸いになりますか?」

と聞く。もうどこにでもある風景。しかし”禁煙席”として連れていかれる席は、喫煙席の横。壁やガラスの仕切りや空気清浄機があるわけではない。当然煙も漂ってくるし、髪や衣服にはタバコ臭がつく。まるで、禁煙席とは”タバコを吸ってはいけない席”のような扱い。

 席を区切ることで努力はしているのだが、喫煙者の視点ではいけない。また、非力な家庭用空気清浄機を『一応あるよ』と置いておくのは”分煙もどき”でしかない。こんなことなら、多少時間がかかっても予算的な計画を立てた上で、時期を見てお客さんも納得できる分煙環境を整えるべき。

■ 嫌煙家の視点から見てみると

 喫煙家には理解しがたいことだが、嫌煙家はタバコの臭いに凄まじく敏感なもの。だから、自分が買ったものにタバコの臭いが付いていたら即返品になる。嫌煙家の視点から不快に思えるのはどんな状態だろうか?

 ・ 「喫煙所」が臭いを吸うものの売り場近くにある
   (衣類・食品等、タバコの煙で品質が落ちる品物は多い)
 ・ ビデオレンタルの通い袋からタバコ臭がする
 ・ 店の入り口が喫煙所になっていて、全ての来店者が
   ”煙のシャッター”を通るようになっている

 例えばレンタル店で借りるビデオを手渡される前に「ご家族のどなたかおたばこ吸われますか?」と聞かれる。「いいえ」と答えたらビデオが禁煙者専用の無臭袋に入って出てきたら嫌煙家は『おお〜!』と思うだろう。

 全ての袋に臭い除去スプレーをしてしまう方法もあるが、それだと嫌煙家は、たまたま臭わない袋に当ったと思うだけ。分かりやすくPRした方が安心できることもある。こうして、両者を満足させながら企業として”喫煙”というテーマに挑む方法はいくらでもある。

■ (怒)「お客さんの中に喫煙者だっているだろう!!」

 当然この主張も無視できない。今のところ喫煙は全面的に禁止ではなく、各社の方針に委ねられている。

 それなら喫煙者・嫌煙家、両方のお客さんが満足出来る環境を整える努力を見せることで、喫煙を認めていても良いイメージは確保出来る。将来的に避けられない禁煙化を早めに行うか、とりあえずの解決策として強力な業務用空気清浄機を取り付けるか、そこは経営者の判断。経費は禁煙が安い。

■ 最悪なのは”亜オレ流”わがまま経営者

 経営者がこんな風に考えていたら解決は難しい。

 「オレはタバコはやめんぞ。オレの城でオレが何しようが勝手だろう!

 しかし、事務所内での従業員の喫煙が認められていて、その煙が接客場所に漂ってくるような場合、多くのお客さんは、

 「ここは古くさくて、田舎臭い、仕事もいい加減なんじゃないか?」

という印象を持ち、それがクチコミで広まる。こんな、業種によっては致命的なイメージを持たれるのは、企業としては仕事中のタバコを我慢することより大きな問題なのではないだろうか?

 (本編では触れなかったが、海外では煙の中で仕事をさせられている従業員の権利は強い。オレの城だから何でも自由に出来る時代は終わりつつある)

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