友人を紹介してもらえる工務店ともらえない工務店の違いはなんだろう?

どの工務店関係者とお話していても出てくる言葉は、

「紹介がもっと増えたらいいのになぁ」

という一言です。
紹介って魅力です。
根気よく営業をかけていく必要がない。

「紹介されたんですけど。実は新築を考えていて」
「はいはい」

これが毎月あったらどんなに良いことか。

社内をぐるっと見回すと、紹介がもらえる会社かもらえない会社か、なんとなく分かる時があります。

まず、誤解のないように前置きを一つします。
「紹介をもらえる・もらえない」
と書くと、

してもらえない方が悪い工務店

という印象があるかもしれませんが、会社の良い悪いは全然関係ありません。むしろ、個性的な家を作っている工務店ほど、紹介はありません。

紹介は、敷居の高い行為

友人や知り合いに会社を紹介することは、実はとても敷居の高い行為です。
例えば、台所のパイプが詰まってしまったから修理屋さんを探している、という人に、

「ああ、ウチはこの前ここに頼んだよ」

と、ある会社を紹介する。このくらいのことならそれほど敷居が高いとは思えません。でも、この紹介にも怖い面があります。

紹介された人が、後日もっと近くて安いところを見つけてしまった。
紹介で来た業者が無愛想だった。(悪い担当者に当ってしまった)
修理した所がすぐに壊れてしまった。

紹介してくれた人の責任ではないものの、なんとなく気まずい感じになることがあります。その可能性を考えると、

紹介って、後が面倒なんだよね。

と感じて、喉まで出かかった言葉を飲み込むことがあります。

工務店を紹介すること

工務店を紹介するとなると、またハードルが上がります。
なにしろ人生最高額の商品の一つですから、もしその後で紹介された方が、

建てた家に満足できなかった
建てた家に技術的な不具合があった
部材価格の高騰で紹介者の時よりグレードが下がった
担当者と上手くいかなかった
会社が数年後に倒産した
知り合いの好みに合わなかった
紹介者のセンスを疑う(あの人、コレを格好いいって言ってるの?、と)
被紹介者の家の方が良質だった
被紹介者の家の方がセンスが良かった

色々な問題と、その後の人間関係のもつれを考えると、やっぱり喉まで出かかった言葉を飲み込んでしまいます。

ですが、注意して見たいのは最後の2つ。
端的に言えば、

「自分の家よりいい家建てられたらイヤ!」

つまり、凄く満足しているお客様ほど、他人を紹介したいと思わないということです。

友人を紹介して、その家が完成したら必ず訪問します。被紹介者の家が自分の家より良くなっているということは大いに有り得るわけです。

それどころか、数年経てば使われている技術や仕様が大きく変わる場合があり、紹介者が家を建てた時には存在していなかったものが使われていたら、心穏やかではありません。

そもそも、御社を選んだ理由が「かっこいい家を作る会社だから」だったら、完成した家以上の家を作って欲しいはずがありません。

しかも、被紹介者は紹介者が何気なく言った、

「ここをこうしておけばよかったな」

という言葉を覚えていて、しっかり参考にした家をつくる(もちろん対抗意識ではなく)はずです。

お客様は自分の家づくりの満足度を高いまま保ちたいから紹介は絶対にしない

と決意していることは珍しくありません。

紹介を奨励するのは得策ではない

紹介者・被紹介者ともにプレゼントをあげるというキャンペーンをされる工務店があります。

紹介キャンペーンは被紹介者に

「プレゼント欲しさで紹介したのでは?」

と勘ぐられる可能性があります。
そう思われたらいやだな、と紹介を避ける人はかなり多いはずです。

では、どうしたら紹介してもらえるのか?

既存客を頼るのではなく、こんなシナリオが考えられます。
これは、実際にあった例をいくつか紹介します。

「ずっと前にね、チラシか何かで見たのかなぁ。こうこうこんな感じの家を作ってる会社があってさ、どうしてもその会社名が思い出せないんだよね。すごくおしゃれで、○○風の家を作ってるところ」
「あ、なんか分かる。そこってさ、国道沿いの○○スーパーの向かいに看板出してる会社じゃない?」

これも紹介の一つです。(クチコミともいう)
この流れは意外と多いです。
ただ、厳密に言うと“紹介者”が存在しないので、被紹介者も

「誰々から紹介されました」

と言いません。
家づくりが決まり、後々お客様とお話ししていてポロッと出てくる

「ある意味、紹介」型

なんです。その他、こんなケースもありました。

「家建てるなら壁とか漆喰にしたいんだよね。だけど、住宅展示場行ってもそんな家ないじゃん?皆どうやって作ってるんだろう?」
「多分、大きい会社じゃなくて、小さい建築会社なんじゃないかなぁ」
「ああ、工務店ってやつ?」

もう一つは、

「そろそろ家建てようって話になってきて、○○の交差点にある◆◆工務店ってところが気になってるんだよね」
「あ~、あそこね。なんか友達の知り合いが建てたって言ってたよ。見せてもらった子が凄いカッコイイ家だったって。私は見てないけど」

これも紹介といえるでしょう。
直接のお客様ではない第三者の知り合いが、聞伝えでその評判を伝える。何も責任が発生しませんから、安心して意見を言ってくれます。

又貸しならぬ、又紹介(所謂クチコミ)

実際に家を建てたお客様が紹介をくださることを計算に入れて営業することは得策ではありません。理由は冒頭でも書いた通りです。

ですが、お客様が、

「この前、トイレが詰まっちゃってさ。家建てた工務店に電話したら夜なのにすぐ来てくれて助かったよ。あれ、来てくれなかったら翌日までトイレ使えないよね。普通どうしてるんだろう?庭でするわけにいかないし」

というお話をしてくれたら、「へ~、それどこの工務店?」とちょっと覚えておくために聞きたくなります。まさかトイレの詰まりを直すときのために聞きたいわけではないでしょうが、人に話したがりの人は情報収集に余念がないので、これは狙い目です。

当社が提供している「新築完成祝い動画」をご利用いただいているお客様から教えていただいたのは、

「この前、○○さんの家引渡しだったんだって。なんか名前入りのワインもらったって言ってた」
「へ~。ウチも色々してもらったなぁ。テープカットと、記念品と大きい“街の鍵?”(笑)みたいなやつもらったりとか、家ができるまでの動画も作ってくれたし、スタッフのみなさんで寄せ書きもくれたなぁ。今思えば、テープカットは近所の人が見に来て恥ずかしかったけど、なんかその時は興奮してたから忘れてた。(笑)」

という話しを、別の人から「○○工務店は、引渡しの日に気合が入っている」という噂として聞いて社名を覚えていてご来社いただけたそうです。

こういった二次的な紹介は、

「紹介されました。作ってください」

という手間のなさはありませんが、クチコミがどうやって発生するのかを知る良い例でもあります。

お客様の印象に残る演出を様々なポイントで他社にはない特色として打ち出したり、家づくりそのものの特色を分かりやすく覚えやすく組み立てていくと、結果として

クチコミという名の紹介

を得ることができます。