全国の工務店ホームページを見ていて個性的な住宅やオリジナリティーを重視している工務店ほど、避けたほうが良い努力をしていることに気づきます。
例えばストレートに「注文住宅」と言うのではなく、あえて「オンリーワン住宅」や「For youモデル」などの、まあ分からなくもない名称をつける。もっと困ってしまうのは、
「でも、英語はありがちだな。だったら、もっと他の国の言葉でイイのない?」
と馴染みのない言語から“新しい言葉”を探そうとする。なんとなく良さそうな言葉、例えば「あなたへ」なんて単語をGoogleの翻訳に入れてみる。すると、イタリア語で「ペルテ」と出てくるので、
ペルテプラン (あなた用のプラン)
「いいじゃん!」
と自社独自の呼び方を作ってしまうこと。(余談ですが、ペルテはイタリア語で「あなたへ」でも、フランス語だと「損失」を意味するみたいです)
お客さまが調べなければならない言葉を避ける
“ペルテプラン”
という名前を見た時、殆どの方は意味がわからないと思います。でも、なんらかの規格なんだろうなと予想するはずです。もしもその言葉をクリックしてくれたなら、次のページに
「ペルは 英語のFor、テはYou。ペルテプランはあなただけのための家づくりのことです」
という説明が出てくるかもしれませんが、実際は面倒がってそこまでたどり着いてくれません。注文住宅を探している方にとっては「注文住宅」という言葉だけが欲しいのです。そこにひねりはあまり必要ありません。
シンプルな言葉の基準、はどこに持てば良いのか?
シンプルな言葉の基準は、お客さまが接触しやすい場所で使われている言葉を使うことです。
つまり、ネットで検索して出てきやすい会社やポータル(大手)、家づくりを始めた人たちが手に取りやすい雑誌・資料(フリーペーパー等)、TVCMなどでメジャーな会社が使っている言葉を探してください。
現在リクルート社が運営している住宅関連ポータルで新築住宅は、
注文住宅 (「建てる」のカテゴリー)
新築一戸建て (「買う」のカテゴリー)
この単語に固定されています。「自由設計」という言葉も出てきません。
家づくりを始めたお客さまがこのポータルサイトにたどり着く可能性は非常に高いです。自ら望んでここにアクセスされる方も多いですし、偶然の検索でたどり着きやすいサイトでもあります。
お客さまはそこで徐々に知識を得ていきますから、
「注文住宅」
という言葉が馴染み深くなり「自由設計」より優先順位の高い重要なキーワードになります。その他、
家をつくる会社
の分類は、「ハウスメーカー」「工務店」の2種類が使われています。「工務店」の認知度は以前よりずっと上がっています。
天邪鬼になるより、大手が舗装した道路を上手く利用する
その他大手のポータルサイトを見てみると「住活」という言葉も盛んに使われています。
正直言って、私、この手の言葉、大キライです!
私は、『最近は何でもかんでも「~活」って付ければいいと思って!』と眉毛を吊り上げたくなる、いわゆる“天邪鬼”な性格なのです。
だから、「~活」大嫌いです。
でも、よくよく考えてみると、世の中で認知されている言葉を避けるより利用してしまったほうが、最も重要な相手であるお客さまが混乱しないし、独自の言葉を浸透させたり理解してもらう手間や時間やお金も節約できます。
キーワード選択に限らず、新商品や新分野が出現した時は、大手が固定的に使用して大金を投じて浸透させようとしている言葉をいち早く取り入れてしまったほうが良いです。
大手が舗装した道路を横目に、天邪鬼になって道なき道をナタをふるって切り拓くより、商標などの問題がなければ堂々ときれいな道路を歩いた方が賢いです。そして、お金は別のことに使う。