インスタグラムやフェイスブックなど、SNSに写真をアップして集客を図る。
「一日一枚写真をアップする!」
ただ、それだけのことがどうしてこんなに大変なのでしょうか?
以前、工務店ブログが恐ろしいほど流行ったことがあります。
当社でもお客さまである工務店から、
「ブログ、始めたいんだけど」
というご要望をいただくと、まず最初にお聞きしたのは
「本当に続けられますか?」
これだけでした。すると、ある方は、
「問題ないと思います。3年分くらいネタありますよ!」
またある方は、
「・・・文章とか自信ないんですけど、社長が言うからなんとか頑張ります」
結論から言いますと、どちらの方も続きませんでした。前者は、3年分と言っていたネタはすぐに枯渇。毎日の忙しさを理由に、「仕方がない」と何日も放置。後者はもともと文章が苦手だったので、書くこと自体が重荷になり、ネタにも困り・・・
双方ともブログが書ける日は、文章の始まりが
「すみません。ブログ、ずっとさぼっていました。これからちゃんと書いていこうと思います」
この言葉が出てくるブログは読者もいないので、もう誰に謝っているのかも分からなくなってしまいます。
そして、やはり次は2週間後、1ヶ月後・・・と放置。
ちなみに、おそらく偶然だとは思いますが、どちらの社員さんもほどなくして退職されました。
ブログを書くことは、本当はとても良いことです。
自社の家づくりへの思いや、考え方、技術的なことでパンフレットだと長く(分厚く)なりすぎて語りきれないことを小分けにして発信していくのは、インターネットらしい使い方で実際この方法で集客をしていらっしゃる会社もあります。
私もこのブログを書くにあたり、以前は気にもしなかった色々なことが目につくようになり、
「今度はこんなことを書いてみよう」
と自分自身の勉強にもなっています。
もともと文章を書くのは仕事の一部ですから、文章を書くこと自体は楽しいです。仕事で書く時は題材が与えられている(お客さまの会社のことを書くなど)ので筆も進みます。
それでも1時間も机に向かっていたのに「ああ、今日は書けないな」という日もあります。
文章を書くのが好きな私でも困る日があるのに、文章を書くのが苦手だったら・・・定期的に書くことなんてできません。
そうして出てきたのが、ツイッターやインスタグラム
「ブログは文章を書かなければならないから大変」
それなら、と必然的に出てきたのがツイッターのような短い言葉のメディアです。これなら続けられる!と思った方も多いようですが、実際は困ったことに初めてはみたものの、
毎日つぶやくようなことがない。
だいたい、毎日誰もが興味を持つようなニュースがあるアクティブな会社なんて、滅多にありませんよ!
早々に消えていきましたが、個人的なボヤキをアップしてしまい、なんとなくネガティブな“オフィシャルツイッター”もありました。
140文字でも難しいです。
すると、やっぱり出てきたのが、もっとカンタンなメディアです。
「写真ならカンタンじゃないの?パチっと撮ってアップするだけだもの。文章苦手でも平気でしょ?」
ということで、インスタグラムが出てきます。
でも、これも難しいです。
なぜなら、とにかく何らかの写真をアップすることが目的になってくる担当者と、「キレイ・楽しい写真」を見たいお客さまの間に、発信者と視聴者の需給関係ができていかないのです。
何を写真に撮るのか、まず迷います。
お店を経営していて、日々新しい商品が入ってくるという環境ならまだしも、工務店の場合は毎日何を撮影すればよいのか、と担当者は困ってしまうはずです。
中にはこれまでの施工例写真にコメントを付けて一枚ずつアップしていくという上手い方法を考えた工務店もありましたが、このコメントをつけるという作業も難しいことに気づきます。企業ツイッターが続かないのと同じ理由です。
1日2日ならいい、毎日やっていると言葉が似かよってきてしまうんです。それは見ている人には分かってしまいますし、書いている方も苦痛です。
では、「年中常に5棟は建築現場がある」というほどの工務店だったら撮る内容に困ることはないのかというと、そうでもなさそうです。
構造がむき出しの現場は、写真を撮ってもどれも似てしまいます。
プロが撮影するのなら、意地でも違う感じを撮ってくると思いますが、写真を撮り慣れていない方には敷居が高い。
結果、毎日似通った写真をアップするだけになってしまい、集客にはなかなかつながらないのに労力ばかりが増えてしまう。担当者はただでさえ忙しいのに、反響のないメディアに対して
「更新が遅れました。すみません」
という言い訳をしながら、社長や上司の厳しい目と、罪悪感にさいなまれながら日々の仕事を続けることになってしまいます。
写真を撮ることはカンタンです。
でも、難しいのは、毎日、人が「おっ!」と思うような写真を取り続けること。
しかも業務時間中に。
新しいネットメディアが出てくると「~マーケティング」という言葉が同時に出現します。でも、それらをすぐに取り入れて、既に毎日日常業務で大忙しの社員を担当者として任命すると、担当者は慣れないことに神経をすり減らした結果、日々更新できない罪悪感から転職してしまうこともあります。その実例も数多く見てきました。当社が「完成お祝い動画」を社内で作るより安くして外注の障壁を下げようと考えた理由の一つが、慣れないことは外注していただき、人材の流失を無くしたいという思いからでした。(ちなみに当社は、インスタグラムは様子見の段階と考えています。(2017/04月現在))
毎日写真を撮る、ただそれだけのこととはいえ、なかなか続かないのは、こんな理由からなんです。