工務店が絶対に得をする「デザイン系」の人々との付き合い方とアイデア共有法。

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宣伝広告やパンフレット、リーフレット、冊子、名刺などを作る時、デザイナーとお話しをする事があると思います。または、印刷会社や広告代理店の担当者が間にはいることもあるかもしれません。

その時、「こちらの考えが、なかなか伝わらない」と思うことって多いのではないでしょうか?

よく言われるのは、デザイン系の人はちょっと変わっている、ということ。
実際、少し変わっているかもしれません。(笑)
デザインは「正解のない仕事」と言われることもありますので、感覚や感性という曖昧な頭で生きていると感じる場面があるかもしれません。(実際は、正解はありませんが、セオリーはあります)
もしくは、建築業界に馴染みのあるデザイナーばかりではないため、建築業界のことが理解できず話が伝わらないということもあります。

ですが、この人種との上手な付き合い方、というものもあります。
もちろん、お客様としての立場に変わりはないので、相手に遠慮しなければならないというお話しではありませんが、かならず工務店側が得をしますので、是非知っておいてください。

デザイナーの仕事はどう始まるか?

個人差はありますが、一般的にデザイナーの仕事は情報収集から入ります。
分かりやすいようにチラシを例に取りますと、

  • このチラシの主題は何か?
  • 誰に見てもらいたいのか?
  • どんなアクションを起こしてもらいたいのか?
  • 見学会なら現場の地図の入手。
  • その他、会社の住所や電話番号といった情報。
  • そして、会社のイメージ(これまでのチラシなどを見せていただく場合も)

こういったことを聞き取りします。

「オープンハウスへの集客」
「20代後半から30代のオシャレな家づくりをしたい人たち」
「来場」

といったことですね。
これらの情報を得て、使用できる、または使用したい画像やデータの有無を調べます。例えば、オープンハウスの折込の4日前に入稿しなければならないけど、6日前にしか写真が撮影できないから、それまでに案を作ってしまいたい。あとは写真を差し替えて入稿!

結構厳しいスケジュールですが、たまに『締切日前日撮影』ということもありますからね。(笑)

草稿状態での確認

デザイナーは何日かかけて草稿を制作し、ネットなどで確認をお願いします。ここで工務店側からの修正が入ります。デザイン的に大きな修正がなければ、早々にここで「あとは写真待ちですね!」となりますが、このあたりからコミュニケーションのズレが生じることが多いのではないでしょうか。

その最も多い例が、

情報の追加

です。例えば、

「求人を出したい」
「それから、新しいモデルハウスも出来るからそれも載せたい」
「分かりやすく頼むよ」

といったこと。
これはかなり大きな変更となるので、デザイナーは再び会社に戻り大急ぎでデザインをやり直します。そして再度確認。

ここでずれてきてしまうことが多いのです。

出来上がってきた原稿を見て、

「分かりやすくって言ったのに・・・」
「もっと分かりやすく少し大きくできないかな?」

という要望が出てきます。
チラシの鉄則として、

1枚1主題

というものがあります。
チラシの折込は非常に高価です。
気軽にポンポンできるものではありませんから、できるだけ情報豊富にしたいという事情ももちろん理解できます。
でも、オープンハウスへの集客がテーマの場合は、そこに集中したほうがアピール度の高いチラシを作ることができます。

  • 求人情報
  • オープンハウスとは別の建物(モデルハウスなど)の情報

を増やすことで、チラシ全体のアピールがが落ちる恐れがあります。それを最小限にして希望を叶えようとすると、どうしてもサブテーマ的な位置づけの内容は小さくなります。デザイナーはそのあたりのバランスを取ろうとするのですが、追加情報は確かに小さくて見えづらかったりします。

ところが困ったことに、いくらサブテーマを小さくしても、肝心の主題までもがサブテーマにつられて分かりにくくなります。もしサブテーマを大きくしてしまうと、全てのテーマが主張し始め、最終的に頭に何も残らないチラシが出来るという結果になります。

ちょうど、情報誌を読んだあとの「色々あったけど、一つ一つの記事を覚えていない」という感覚に似ています。忙しいときなど、興味があったはずの広告や記事の事も

「あとで見よう」

と思ったことすら忘れて、情報誌をぱたんと閉じ、古新聞の山の上にポンということもあります。数日後に、

「あれ~、あの広告どこかで見たんだけどな~」

と捨ててしまった雑誌を探すことが、(私には)よくあります。(笑)

デザイナーの意見も参考にしてみてください

「ウラ面に求人情報載せたいんだけど、どうかな?」
「モデルハウスの情報も載せられるかな?」

と聞かれれば、デザイナー側に良いアイデアがあれば

「こんな感じはどうですか?」

と代替案が出てきますし、場合によっては

「オープンハウスの情報に絞ったほうが良いです」

という答えも返ってきます。
更に、反対意見を認められるとデザイナーは、あなたのために出来る限りの努力をしよう!と腕まくりする事が多いです。

さきほど「場合によっては」と言いましたが、例えば同じチラシに2つの地図を載せる必要がある場合。

オープンハウス会場とモデルハウス

地図を2つ載せて、とても困った事件が実際に起きました。
お客様の中に、

「表はイメージ重視。情報は裏面」

という先入観をお持ちの方がいて、表面に地図があるにも関わらずそれをスルー!オープンハウスに行きたかったのに、裏面の地図を見てモデルハウスに来てしまい、とても怒りになり、帰ってしまわれたことがありました。

お客様の先入観を責めるわけにはいきませんから、最良の対策方法は、

分かりやすくするために、情報を絞ること

です。そんな意識を共有してデザイナーと付き合うと、デザイナーは職人気質の人が多いですから、

「あの社長、自分の意見を聞いてくれた。頑張るぞ!」

と思って、腕によりをかけてデザインするはずです。