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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ 目に見えてしまう「空気」

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 「ネットは儲かるらしい。しかも、人いらずで放置するだけで勝手に稼いでくれるらしい」

 こんな”らしい”が90年後半頃は普通に言われていた。非常に前世紀的なネット感だ。しかし、信じられないことに、まだこの”らしい”は健在なのだ。僕の知るかぎり、ネットの活用方法をクールに考えている会社は多くない。経営者がしっかりしている会社は、ネットの営業上の位置づけをハッキリ理解している。しかし、その反面「苦し紛れの最後の切り札」的にインターネットを考えている経営者もいる。そういう方に限って、身を入れてHP運営をしようという意気込みに欠ける。片手間では切り札も全く無力だ。

■ ネットで目立つ法則はあるか?

 商売に限らず、インターネットで人が集まるところにはある程度の法則がある。それを全てあげることは出来ないが、次のリストに納得される方も多いと思う。

 ・ 名物店長、名物管理人がいる
 ・ ちょっと真似出来ないことに挑戦、体験記を書いている
 ・ ユーモアがあるが、そっけない管理人である
 ・ 筆まめな管理人である
 ・ 有益な情報を提供している
 ・ 趣味性の高い事柄に造詣が深く論評が的確
 ・ 批判の矢面に立つことを怖がらない(持論がある)
 ・ 他人が紹介したがる(サイトを知ってる事を自慢したがる)
 ・ 宣伝広告に大金をかけている(大企業バックアップ)

この傾向から分かることは?(この際、最後の項目は無視)

■ 法則 その1: 人である

 とにかく「名物」で、「知識が豊富」で、「面白」くて、チャレンジ精神がある人のサイトは流行っている。例えば僕は車が好きなので、車のサイトをよく見るが、その中にエンジンを自分の家の車庫で部品単位まで分解し、チューニングをして組み上げてしまう人、解体車からの部品を使って本物の「ジェットエンジン」を作って動かしてしまった人、メーリングリスト等で技術的な質問にいの一番に回答し、その答えが製造元並に的確な人がいる。その人はさりげなくURLを署名に入れることでアクセスを伸ばしている。

 これらの人たちのサイトは、人がひっきりなしにアクセスし、迷惑な程の質問メールが届くそうだ。仮にその人が懇意にしているショップの名前がそのサイトで話題に上がると、そのショップの集客にまで一役買ってしまう。

■ 法則 その2: チャレンジ精神+経験知識がある

 「凄い情報量だ!」と驚くサイトがある。そんな”解決に一直線情報”が豊富なサイトも人気はそこそこ上がる。しかし、もっと人気が上がるのは、突拍子もない疑問を「これこれするとどうなるんだろう?ということで実際にやってみました!」と実験し、その実験をする過程で調査をし、仮説を立て、その仮説を検証しつつ実験を繰り返し、「〜と言うことがわかった」とさらりと結論づける。これを実況するようなサイトは、ただ情報を公開するだけでなく、分からない事を知る努力の過程が面白い。一種のエンターテイメントとして読める。

■ 法則 その3: そっけなさと筆まめさ

 「仮説検証型」のサイトの管理人は、そっけないことが多い。分からないことは知ったかぶりせず、

 「〜はどうしたらいいですか?」
 「さぁ?」

と答える程のそっけなさ。サイトには「こうこうな質問はご遠慮ください。はっきり言ってウザイです」と明記しているサイトもある。そんなサイトでは、掲示板に書き込んだ内容に管理人が好意的に答えてくれた場合、書いた本人は天にも上る気分になりファンになってしまう。その他の人達は、管理人に好意的に答えてもらうために、一生懸命書き込む内容を考える(一種の”媚び”も出てくる)。まるで先生と児童のような関係になる。

 そっけないとはいえ、サイトを運営しているわけだから、コンテンツ制作は精力的。メールには意外な程マメに返答していたりする一面もある。

■ 商売サイトに使えるか?

 全てを応用するのは難しい。人のキャラクターをただ真似するだけだと「似非っぽい空気」が見えてしまう。人はこの「見える空気(雰囲気)」に敏感だから、すぐに飽きられてしまう。つまりは、中小企業ならオフラインで「名物」と言われるほどの個性を持ち、人から慕われている人(経営者等)を、メインキャラクターとして据えることが出来れば面白くなる可能性が高い。

■ 「でも、”名物人間”なんて居ないもの・・・・」

 なろうと思って名物人間になれるわけがない。天性のものが必要だ。自分にもその天性がないのは残念だが、ご自分の会社が何かの分野で「プロ」だから会社を営んでいるはず。それなら、その「プロ」の皆さんが持つ情報を、お客さんが興味を持ちやすい情報に編集して提供すればいい。お客さんが疑問に感じそうな事柄に対しての解決策を、お客さんの視点でまとめ提供する努力が必要だろう。

■ それって「FAQ」じゃないか!

 そのFAQが、業者の視点で書かれているから役に立たない。例えばある業界に「怪しげ」という、お客さん側からの偏見があるとする。しかし、その会社のサイトには「怪しい」という偏見を解決するFAQが抜けていることがある。商売に自信があるのなら、その偏見も理解した上で回答を用意しておくことも必要だ。(その回答が下手だと逆効果にもなりうることは付け加えておく)

■ 失敗するのは誰?

 お客さんは敏感だ。「とりあえずネットに載せとけば」「カッコがつかないから、競合他社のカタログの情報をパクってちょこっと変えて掲載しよう」「儲かる商品だけ置いとけばいい」という自分本位の会社の”空気”はすぐに見破ってしまう。

 また「たまたまこの商売をやってるだけで、情熱をもってやってるわけじゃない(だから楽して儲けたい)」「今まで惰性できたから、競争力になる知識の蓄積がない」と”後ろ向きの空気”も見える。こんな会社が失敗するのは目に見えている。

 もし自分の商売に対しての情熱がなく、その情熱を持つ努力をする気概もないのにネットに参入するなら、結果は惨敗以外にはない。

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