■ 怪しさの中にも
メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。
紛らわしい宣伝広告というのは、一時効果や反応があっても、すぐにその不鮮明さが話題になり、会社自体の評判を落とすことにもなる。その良い例が、以前新聞に折り込まれてきた。画像を載せたいところだが、無用なトラブルを招く気がするので、画像と社名の掲載は断念。
■ 「信頼の指定業者」
水漏れや詰まり、雨漏りといった「家のトラブル」を解消してくれる業者の広告が入った。その中には不可解な言葉が満載。なんとなく「公共性」が高く、県や市、そうでなければ業界全体で組織化して行っている事業に見えなくもない雰囲気を作るべく、言葉を選んでいる。
・ 水まわりのご相談は”信頼の指定業者へ”
・ ○○管理協会
・ 緊急車両配置図
■ その母体は?
○○管理協会と書かれていると、まず何かの業界団体がサービスの向上と質の平均化のため「協会」を設置していると錯覚してしまう。ところが、このチラシはそうではなく、しっかり「社名」も書かれている。その社名も紛らわしい。
「○○管理株式会社」
これがその会社の名前だ。ネットで調べてみてもサイトが出てこないため、会社の実体が分からないのだが、その会社が「協会」を設置、その会社の下請けと思われる業者が「指定業者」という仕組みのようだ。
■ ここでよく見てみると
別にこの会社は悪いことをしているわけではない。おそらく下請け企業を機能的に動かすために「協会」を設置して、それなりの規準で「指定業者」を設定しているのだろう。
全くウソばかりで公共機関をかたって商売をしているというわけではなく、
「見積り無料」
「お支払いは後日便利なコンビニからあ」
と、公共機関ではあり得ない言葉も使っている。
■ イメージの悪化
このチラシを見ていると、なんとなくだまされているのではないか?という不安感がある。たとえこの会社が高品質なサービスを提供していたとしても、「本当に良いのだろうか?」と余計な心配をお客さんにさせてしまうおそれがある。それではいけない。
■ しかし、見習うべき面白いアイデアも!
悪いことばかり探していても面白くない。実は、このチラシには多くの仕掛けがなされていた。
今までチラシと呼んできたが、サイズは「ハガキ」サイズだ。これが、必要な部分だけを剥がして、冷蔵庫等に貼っておける「ステッカー」になっている。
この手の業種は、今必要じゃないが必要になるときは緊急時で、ゆっくり業者探しなどしていられない。そんなときは仕方なくこのステッカーに書かれた電話番号に電話することになってしまうだろう。
■ しかし、捨てられては意味がない
このステッカー作戦も、ステッカーを捨てられては意味がない。このチラシはそこまで考えている。なんとなく捨てにくくしてしまう仕掛けがされていた。それはこの一言。
「このシールは1枚21円しています。無駄にしないで困ったときにお電話ください。即日お伺いします」
普通のチラシだって安いものではない。企業は大金を投じてチラシを打つ。たとえ白黒でもタダではない。とはいえ、チラシに1枚幾らかかっているかなんてことは普通はお客さんには言わない。ところがこの会社は堂々と「1枚21円もしてるから、捨てるな!」と言い放っている。
これはなんとなく捨てにくい。
いつも言っていることだが、「怪しい」広告を「これは怪しい」で終わらせていてはいけない。怪しさの中に、目を惹かれた理由を探したり、埋め込まれている”仕掛け”を探すことで、何でも教材になってしまうのだ!