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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ 私も利用しました!宣伝(下)

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 多くの場合、

 「私も利用しました」

という宣伝では、ウソっぽい人のイニシャルと顔写真を掲載している。もしかすると本当のユーザーなのかもしれないが、おそらく世の人達は信用しないだろう。

■ こういう手を使っていた

 昔、ある企業の宣伝広告を担当した時のこと。以前の宣伝広告を見せてもらった。そこにはやはり、

 「私たちも利用しました」

という内容があったのだが、その後、本当に利用した人にインタビューに回った。すると、その広告に出ていた人に合うことが出来た。

 「おお、正直じゃん!」

と僕は少し感心したのだが、家へ帰って交換した名刺と昔の広告を比べてびっくり。イニシャルが別人になっていた。なぜわざわざ本当の事を”ウソ”にしなければならないのか分からないが、作る側もこういう意識で居るというのが実情だろう。

■ そこで、先週の続き

 今回も先週に引き続き、怪しさを説いていても仕方がない。今、巧みに使われている手法を参考にしてみよう。

 皆さんの中で、ガーデニングをされる方はいるだろうか?僕自身は最近になって突然興味がわいてきて、ホームセンターに行くと思わず苗木を買ってしまう事が増えた。とはいえ、モグラの出没でガーデニングが頓挫してしまっている、というのは関係ない。

■ 苗木の売り場に写真が多い

 苗木売り場を見ていて気になることがある。それはこんな言葉だ、

 「私と一緒に○○を作りましょう!」
 「○○(人名)さんの、美味しいキュウリ」
 「○○(人名)名人の魔法の肥料!」

こんな具合。

 つまり、どういう所で活躍する人かは不明だが、これは『私も利用しています』の進化版だと言える。

■ 私の作った商品を使った人ではなく

 このアイデアは、従来の”当社の製品を使った第三者のコメント”ではなく、

 ・ 製品を作った当社スタッフの言葉
 ・ 製品を開発した人を一種の”権威”と見立てた言葉
 ・ 作った”私”が自信を持ってるから顔を出します

という傾向なのだ。

 つまり、使った感想をでっち上げただけの宣伝ではなく、より真実に近い、より責任感の要る”私”が全面に出るようになったということ。

■ 誰でも権威に弱い

 自分でオリジナリティーを持っていると思っている人でも、実は他人の意見を気にしている。

 それが証拠に、何かを始めようというときには、

 ・ 本を探す
 ・ 師を探す
 ・ 前例を探す

といった行動を取る。つまり、行動する前にある程度の「こうすれば失敗しません」という助言を求め、最低限の安心を得ようとする。だから、「野菜づくり名人のキュウリ」「ハーブの達人のオレガノ」という言葉が出てくる。

 野菜を美味しく作ろうと思えば、時間と努力でだれにでもやれる。しかし、それより楽しみを優先させたいと思えば”カリスマナントカ”に身を委ねる。

 これからは”プロ”である自分を演出し、”人に対してサービスをする資格がある”ことを強くアピールする必要がある。お客さんに対して、ある程度のレール引きをしてあげて、その上でクリエイティブな面も残してあげる。

 うそ八百の「私も使いました」ではなく「長年研究してきた”私(当社)”がいうんです!」と真実を宣伝すれば、猜疑心の強いお客さんの支持も得ることが出来る。最低限必要なのは”自分が素人ではなく、プロである”という事実だけ。だから、こんなに簡単な方法はないのだ!

(ただし虚栄心の強いテレビ出演大好き社長のように”でしゃばる”ことはご法度だ。嫌われない演出、より自社を良く見せる演出をしたいところ)

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