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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ 巨大モール・キリオに行ってきた

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 愛知県葉栗郡木曽川町に「ダイヤモンドシティ・キリオ」という、巨大なショッピングセンターが出来た。東海地区最大というふれこみ。プレオープンということで、早速行ってきた。普通にオープンした後だと、付近に近づくことさえ怖いパニック状態になりそうなので、早々に見ておくことにした。事前に付近の知合い・友人から情報を集めると、それほど混雑していないということだった。

■ 3階建ての巨大ショッピングセンター

 3階建て、その中心を吹き抜けが占める巨大なSF的洞くつ空間。とはいえ、その見た目は海外のショッピングモールに行ったことがある人にとってはお馴染の風景だろう。それほど目新しい所はない。

 専門店の並び具合や、店づくりにおいても、悪い言い方をすれば、

 「よくぞここまでアメリカを持ってきた」

という印象。空間を贅沢に使えば最終的にこの形に収まるのはある程度仕方がない。とはいっても規模的にはアメリカの半分くらいでこのスケール感を達成しているのは日本という狭い国の工夫の勝利か。

■ 並んでいる専門店

 小奇麗な専門店街。落ち着いた濃色や、パステル調のファサード。ロゴのデザインに凝り、ガラスを多用した透明感のあるデザイン。オシャレな雑貨や衣料品の店が並ぶ並ぶ。

 ところが歩いて20分程で僕は足に疲れを感じ始めた。それが歩き疲れたわけでも、はちゃめちゃにはしゃぎ回る息子をつかまるのに疲れたわけでもない。だったら、何に疲れるのか?

■ 見るものがないっ!!

 キリオさん、男が見るものが全く無いのはどういうこと??

 歩けど歩けど女性用の服服服。そうかと思えば台所用品、雑貨、化粧品。キリオは完全に男を無視した作りになっている!

 それに、どこも似たり寄ったりの服ばっかりで女性は飽きないのか??

 歩いててノドが乾いてもちょっとフラッと立ち寄るドリンクスタンドがないから、たとえ湿度を調節した環境とはいえ辛い。

■ ”女性至上マーケティング”の弊害が露呈か?

 最近は”消費の大半を握るのは女性”と、女性至上マーケティングが大流行だ。しかし、このマーケティング戦略の裏には、コンサルタントが特色を出すための”当社は女性心理分析に長けています”という宣伝文句が混じっていることを忘れてはいけない。心理分析よりむしろ、メディアを使った派手な”消費者再教育戦略”だということに気づかねばならない。

 このキリオはその”女性至上マーケティング”の弊害が赤裸々に露呈してしまった印象がある。

■ 女性にお金を使わせるために

 モノをより多く買うのは女性。それはある意味正しい。しかし、女性の買うか買わないかの意識に裏から影響を与えている無視出来ない存在は、実は男なのだと僕は考えている。(これは既婚女性や彼のいる女性に限定)

 女性の皆さんはここで引いてはいけない。

 つまり、女性と一緒に店にきた男性が”この店はつまらない”と思いながら歩いていたとすると、女性は非常に気が重い。ひたすら相手に気を使って、買い急いだり、見たいものを半分で見たり。自分だけが楽しんでいるような罪悪感にとらわれる。そこで男が露骨に”つまらねぇなぁ”なんて顔をしたり、退屈でアクビでもしようものなら、無意識に逆恨みをして、

 「あんな男だと思わなかった」

 こんな経験、ありませんか? ここまでいかないかもしれんが、この二人の行く末はちとあやしい。

■ アメリカばかりを褒めるわけじゃないが

 アメリカのショッピングモールは、その点”両性マーケティング”が出来ている所が多かった。

 女性が服を選んでいる間、男性はどうしているかというと、ナイフショップやジッポショップ、ハイテク家電店や、旅行・冒険情報ショップ、手品や隠し芸のショップやアート系ショップ等、見るところが沢山ある。女性の買い物に付き合うのが苦手な男が、

「おれはあそこで待ってる」

という場所がある。仮に別々に行動することがなくても、たまに男が見たい店に付きあってくれれば満足するものなのだ。

 男が興味ある店も適度に混ぜることで、女性は男に気兼ねすることなく、また妙な罪悪感を持つこともなく買い物に専念出来る。ショッピングセンターには夫婦、家族で行く場合も、女性客が女性同士で行く機会と同様多い。例えば、次回は女性の友達同士で行くことになったとしても、その店での体験をもっと自由に楽しくさせることが出来る。

 だから、いくらメディアが”女性至上マーケティング”を提唱したからといってそれを真に受けて実践してしまってはいけないのだ。

■ 事実と照らし合わせて

 観察していると、女性が専門店に買い物に入って、連れの男が通路側の手すりから階下を見下ろすという風景に出くわした。

 消費の大半を女性が握ってるのはある意味事実。

 しかし、その女性が買いやすい、お金を使いやすい、店に滞留しやすくするためには、実は男をどうやって暇つぶしさせるか、がキーだと言える。アメリカやヨーロッパはそういう着眼力に優れていて既に対策を取っている。

 見た目はアメリカと寸分違わないんだが、楽しませるというサービス精神が足りない。売ってるものも服ばかりってのもなぁ・・・・。

 ということで、

 「男が何度も行ってもいい店か、せめて、ついて行ってやってもいい店」

 に改善しないかぎり、巷の奥さん方は気兼ねしておちおち金を使っていられませんよ。

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