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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ 恐怖!を与える営業マン

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 営業マンからの恐怖体験はお客さんを未来永劫その企業から遠ざける。恐怖などと言うと少々大げさな感もあるが、事実そういう営業方法を取っている企業は少なくない。

■ 僕の経験

 僕は好奇心からあるネットワークビジネスの説明会に7週間通ったことがある。商品デモのやり方を教え、最後に約15万円もする万能ナベセットのデモを行い、

 「これ一つで天ぷら、炊飯、スープ作り、デザート作りが出来る!で、しかも一生使える」

所を見せてくれる。作ったものを食わせてもらえるので、腹ぺこ留学生だった僕は週1のミーティングにタダ飯食いに行っていた。

■ 7回目の恐怖

 毎週タダ飯を食いながら、たったの105ドルの入会契約しないしぶとい鴨に正規会員達は嫌気がさしたのか、7回目、とうとう参加者達がキレる日がきた。

 14人程いた参加者のリーダー的存在、元板前男性が僕に詰め寄る。それを合図に僕を中心に座らせ、周りを取り囲む参加者達約10人。つい先程まで談笑していた知合いや、僕をミーティングに誘った友人(だと思っていた人)の目はつり上がり、僕の鼻先に契約書を突きつける。

 ほとんど新興宗教の洗脳のようになってきたが、2時間程の詰問をのらりくらりとかわしていると、相手が先にさじを投げてくれたので助かった。

■ これに近いことが普通の企業でも

 先日ある講演会に参加したところ、翌日主催者の企業から電話が入った。講演会出席のお礼に、僕の自宅へ来るという。しかももう近くに来ているらしい。僕は講演会からどうやって集客につなげているのか、その手法にとても興味があったので、相手に乗ってみることにした。すると、営業マンはすぐに来た。これが土曜日。

 僕と歳の近い20代後半の男性。物腰柔らかで、よく訓練された丁寧な口調。もの凄く印象がいい。会社とサービス説明をするのだが、自社サービスを売りつけるというより、最後まで”慎重に考えてご依頼いただければ良い”と言い続けた。

 無料講演会、自宅訪問、会社説明の上、売り売りの態度で出てこない。結局、僕はその日”そうなの。じゃあ、そちらのサービスはあまり僕には関係ないですね”という気持ちになってしまった程で、完全に拍子抜け。

■ そして週明け

 月曜朝8時半に電話が鳴る。仕事の電話にしてはちょっと早いな?と思いつつ受話器をとると、先日の営業マン。異様な程の早口でとても慌てている。なんだろうと思うと、

「石川さん、大変なことになってるんです!」
(ついに本題に!)

 その後、ある商品がとてもお得に手に入れられる状態で、これが年に何度もある状態ではない。先日は慎重にと言ったが、もう悠長な事を言っていられる状態ではない。ここは即決断して、ウチと取引開始しませんか。こんなチャンスは2度とない。先日優しくしていただいたあなただから、お教えするんです!という流れ。これ必要金額400万円の取引の話。

 僕は繰り返し丁寧に断るのだが、聞き取れる限界の超早口で延々30分。揚げ句の果てに言葉まで荒れてきて、ちょっと腹は立ったが最後まで乗る覚悟だったので付きあった。最終的にあきらめてくれたが、この人に仕事を依頼してトラブルになったらちょっと怖いと思った。

■ 古い商売で

 僕の妻が呉服屋に、夏に着たゆかたのクリーニングを頼んだ。すると、以後ことあるごとに電話勧誘の嵐にさらされることになった。”社員家族限定”の展示会に、特別にご招待だとか、他の人に言う前にお得情報を”あなただけに”といった類いの勧誘。

 クリーニングを一回利用したごときで、そこまで特別扱いをしてくれる企業があるはずがない。そんなこと分からない人はいないのに、相手はこれが相手にばれないと本気で考えているかのような態度でいる。

 こうして失った、顧客と会社との”丁度よい距離感”は顧客を失う結果で終わっていくケースはこれからの世代には顕著に現れてくるだろう。平身低頭、頼みまくる根性営業をいまだに続けている企業は減っているが、上司の立場の年配者にその意識が残っている場合はかなり多い。この場合最後には若い社員の離職率が高くなって終わる。

 古いアタマは整理整頓。捨てるべき意識は捨てるべし。

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