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 こちらは、2006年までに発行されたメールマガジンの内容です。


■ 2004年最後で90回目

メールマガジンからいらした方、ここが「アタマに残る中小企業」で間違いないです。

 2004年も1週間を切った。偶然にも今回90回目が今年最後のメールマガジンになったので、90回と、年末を振り返って考えてみた。

■ お客さんは企業の本質に興味があるのか?

 ある忘年会の席で、経営不振だった有名英会話教室が、一匹の”ウサギ”をキャラクターにして宣伝したら、業績が上向きになった話が出た。

 この話の要点は、”やり方一つで業績は良くなる”ことだと考えてしまいがちなのだが、同じ言葉で視点を変えるとこうなる。

”お客さんに選ばれる企業とは、宣伝の面白さであり、企業の本質は無関係”

である一面が否定できない。

 だからこそどこの業界でも出てくる嘆き、

 「あの会社の製品は大したことないんだけど、ネームバリューで売れてるんだよね。製品の性能はウチの方がずっと高いのに」

 これに繋がっていく。

■ 巷にはびこる「虎の巻」

 それに気付いている経営者が多いから、本屋にならぶ「虎の巻」や成功談番組が売れる。口先一つで売れ行きが上下すると思っている人が多いから、ベストセラー本の影響で、同じような手口の同じような宣伝がはびこることになる。

 皆が同じことをするようになれば、結果として”口先”の効果は出ない。そもそも人を真似て、口先だけでお客さんが呼べると思っていること自体に問題があるのだが、解決の焦点が定まらない不安感には打ち勝てず、安易な方向へ行ってしまう。

■ 虎の巻は「抜け殻」

 色々な企業を見ていて思うのは、人の成功談や虎の巻は「抜け殻」であるということ。講談師のように自慢話の多い経営者の話は特に抜け殻が多い。どんな悩みを持って、どんな対策を立てて、どんなみっともない失敗をし、それを乗り越えて、どんな偶然に乗って、どんなコネを使って問題を解決してきたのか、そのなかで劇的でないがために、地味ながら重要な部分が完全に抜けて残ったのが”抜け殻成功談”なのだ。

 本を読めばいかにも誰でも出来そうなことに思えてくる。しかし、それら企業が成功した理由は決して口先だけではない。楽してその企業と同じようになれると思ったら大間違いなのに、なぜか自分のことになると成功を急ぎその辺りを見失う人が多い。

■ 口先で成功しているように”見える”企業とは

 このような一見”口先だけ”に見えても、実際に伸びている企業には共通点がある。

 ・ ユニークであること
 ・ より良いものを求めて日々奔走している
 ・ 経営者と従業員の意志の疎通が出来ている
 ・ 既存の顧客満足度が高い

 これらに対して、真似だけしか出来ない企業の最大の共通点は

 ・ 特色のPRが下手

 つまり、端から見て良い企業なのに、世間に向けて行うPRの部分が下手なため、その企業の良さが多くの人に伝わっていかない事だけが問題なのだ。

■ 集客の後に

 多くの人が「抜け殻」だけを信奉して口先宣伝を行って失敗するのは、本質の部分が出来ていないことがお客さんに伝わってしまうから。

 虎の巻の関係者は、その本質部分には触れたがらない。そこに触れると、書籍の魅力、テレビ番組の面白み、ストーリーの衝撃度、そして最重要なのは、「お手軽そうなイメージ」が損なわれてしまう。

 それらが直結していくのは『売上げ!』なのだ。また、紹介される企業も、汗臭くて泥臭い自分達の努力の部分は可能なかぎり避けてもらったほうが、より知的で洗練された企業に見え、売上げが上がる。そして、その抜け殻の成功談を消費する人たちにとっても、「読む(見る)前と違う自分感・高揚感」を得られるため、三方良しの構造が出来上がる。

■ たとえウサギで成功しても

 冒頭で、

”お客さんに選ばれる企業とは、宣伝の面白さであり、企業の本質は無関係”

と言ったことに戻る。

 重要なのはお客さんが最初に企業と接する機会はPRや宣伝広告であるのだが、たとえウサギPRが成功しても、それに反応したお客さんを満足させる体制が整っていないのであれば、どんな面白い宣伝も逆効果になるということ。

 お客さんの満足を高めようと常日ごろから努力している企業が、PRの上手い方法とミックスされた場合にだけ、成功がもたらされるのだということを強く感じた2004年だった。

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