10年ほど前、「当社はデザイン力で地域一番」とおっしゃる経営者がいました。でも、デザインはどこの会社も自信があるため競争が激しい。そのデザイン力をアピールする良い方法はないものかという相談でした。
当時、当社が注目していたのはグッドデザイン賞。
受賞経験者からあることを教えていただいたところでした。グッドデザイン賞というのは経済産業省によって創設されたもので、経済の発展のために行うものでコンペティションやコンテストではありません。誰かと競った結果の受賞というわけではなかったのです。
つまり「基準に達しているものは、積極的に受賞させる」という方針がありました。なので、コンテストというよりは審査基準に適切に当てはまる“申請書”を作成して認可を受けるようなものでした。
しかも、当時は建築でこの賞を受けた中小零細企業はありませんでした。誰もが「グッドデザイン賞なんて大企業のものでしょ?」と思っていたからです。それも都合が良いことではありませんか!
大企業のものだと思ってた“あの”賞を受賞した中小零細企業!
この称号があれば、印象勝負の「ウチのほうがいいデザインだ」「いやウチだ!」という争いをする必要がありません。グッドデザイン賞取ってますから、という一言は一般のお客さまにも響きます。
だからこれを取りましょう!
ただし、経済的に有益な“デザイン”である必要があります。正確ではありませんが、量産出来るもの、ともいえます。つまり、“アート”や一点もの“作品”では受賞できません。
残念ながら、当時急いで準備した家は一点ものでしたから受賞はなりませんでしたが、
「一つ、グッドデザイン賞を前提とした商品を作ることはできませんか?」
とお願いしました。ただし、
「グッドデザイン賞の効用に気づく会社が出てくるのに数年しかないと思います」
とも。結局、この企画自体が日常の業務に優先順位を奪われ日の目をみませんでした。この頃中小零細の工務店でグッドデザイン賞を受賞している会社が沢山でていることを見ると、当時この賞をとっていたらインパクトはかなり大きかっただろうと思います。
この方法はもう当時ほどの威力は発揮しなくなってきています。
宣伝方法には「今なら威力を発揮できる」という鮮度があります。
その時、を逃してしまったらもう有力な方法ではありません。
ブログ、フェイスブック、検索連動型広告、LINEなどなど色んな方法があります。様々な方法の中には、狙っているような効果がないものもあります。使い方と、タイミング、鮮度に敏感になってください。
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