大企業の広告を参考にするところと、中小零細企業だからこそ必要なこと。

おしゃれな家をつくる工務店なら、当然ですがおしゃれなデザインで広告もホームページもパンフレットも統一して発信していく必要があります。大切なのは広告の目的をしっかりと把握して、デザイン性を印象づけながらお客さまも獲得していくバランスです。

広告を“ざっっくり”と両極端な存在2種類に分けてみます。広告は、

イメージ広告
レスポンス広告

に分けられます。

イメージ広告は文字通り企業のイメージを表現するものです。アップルにはアップルの、ソニーにはソニーのイメージがあります。自動車メーカーは車種ごと、販売系列ごとにイメージがありますが、これらイメージ広告の特徴は、

じんわりと効果が波及すること。(時間が物凄くかかる)
効果の測定が難しい。
お金がかかる。
など・・・。
どの大企業も同時に複数の媒体に何十年も広告を掲載し続けてきているという事実があります。

イメージ広告は商品そのものさえ見せないこともあります。例えば、その会社のつくり出す商品がもたらすライフスタイル。その製品を使って沸き起こる感情など、抽象的なものです。

一方で、レスポンス広告は 「レスポンス = 反応」 です。
つまり、その広告を見た方にすぐ何らかの行動を起こしていただきたい、という意図で制作します。

オープンハウスに 「来てください!」
お問い合わせをしてください!

といった、それを見たお客さまが、何をすべきかがハッキリしている広告がレスポンス広告です。

中小零細工務店の広告はレスポンス広告しかありえない

宣伝広告予算に限りのある中小零細工務店が活用するネット以外の広告媒体は、フリーペーパーや最近は少なくなった折込広告、最近意外な効果を発揮し始めたポスティングなどが一般的です。

これらは出稿からイベントまでが数日(折込・ポスティング)から数週間(フリーペーパー)と短期間で、レスポンスが欲しい状況で出稿する広告であるということです。

これを期待してはいけない!ということがある。

ある広告出稿時にこんなことがありました。
全国誌への出稿です。
広告主は知名度がまだ低いブランドです。
そのため、純粋なイメージ広告ではいけないと考え、何らかの「反応するポイント」を設けましょうと提案しました。

反応するポイントとは、例えば、見込み客が広告を見て「欲しい」と思うような資料や情報をホームページに用意しておく。ただし、それはいつでもある資料請求ではなく、何らかの特別さのあるもの。その情報への誘導が目的。

または、予約制のイベント。ただのオープンハウスとするのではなく、今回のイベントではそこでしか見られない“何か”が用意されているという、2段構えの広告にする。そのイベントへの予約や来場を促すのが目的。

資料請求はこちら!はいつでも出来る。だから、後回しになりがちです。

いつでも出来る資料請求自体を魅力的なものとして位置づけないで、“今回の”資料請求で手に入るものに何らかの魅力を持たせることで、なんとかアクションを引き出そうと考えました。

ちなみにこれは、広告の度に考えると良いことです。「いつも何か違うこと」それは特別なことでも、お金をかけたことでなくても良いのです。無理矢理でもなんでも特別感を演出して、今だからこそという理由をこじつけてください。もし集客が思い通りにいかなくても、ダメージが最もすくない“魅力”を用意してください。

ところが、この広告を提案したところ意外な答えが返ってきました。

「そんなものいらない。写真とURL、下の方に社名。シンプル・イズ・ベストっていうでしょ?当社の写真を見せれば皆が『わ~!』となるから、すぐにネットで検索してくるよ」

レスポンス要素のない広告は、たとえ大企業の広告であっても「飛びつく」ことはありえません。認知度の低い会社の場合、その確立はもっと低くなります。

結果は火を見るより明らかでした。

自社の商品やイメージに自信を持っている会社ほど、そのイメージが見込み客に強烈な印象を残すだろうと考えがちです。それは間違いです。今時のお客さまの目はとても洗練されていて、おしゃれなものを見慣れているからです。

何らかの発信をするときには、自社に最大限厳しい目を向けてください。

「ウチのことなんて誰も知らない」
「家も写真もいい出来だけど、それだけだと『うん。かっこいいね』で終わる」
「自分だって広告ページなんて凝視しない」
「1媒体で、月に一度しか見ない広告なんて誰も覚えていない」

このレベルまでお客さまの視点を厳しく評価してください。

すると、大企業の広告を真似してイメージを全面に押し出すだけではダメなことがわかります。かならずレスポンス要素を付け加え、そのレスポンス要素も単純なイベントではなく、“特別感”を毎回演出する。

これから10年20年、毎日どこかで広告を目にしていく大企業の真似をするのではなく、一回ごとの広告が命がけという心構えで広告を考えたいものです。