御社が100%誠実に行っている定期検査が、なぜか御社の評判を落としている理由。

御社が100%誠実に行っている定期検査、これが御社の評判を落としている??

この事実を知った時、私は愕然としました。

新築してから数ヶ月、1年、数年・・・と行う定期検査です。
しかも、御社には何の落ち度もなく、誠心誠意サービスを提供しようとしているにも関わらず、です。

理由から言ってしまいます。施主さまの主張はこうです。

「定期検査に来ると言われると、掃除するのが面倒くさい」
「掃除の都合などがあるので、と日にちをずらしていたらウヤムヤにされてしまった」

ということなのです。
工務店側からしてみれば、

「えええ~~~???そんなぁ!!!」(T_T)

と言いたくなるようなことですが、お客さまは悪意もなくこういうことを友人の前で口にしてしまいます。特に「ウヤムヤにされてしまった」という点は強調します。

ウヤムヤにされたと言っても、定期検査を延期したのはお客さまの都合に一生懸命合わせようとした結果、数ヶ月が経ってしまい・・・その間に担当者が退社してしまって、引き継ぎが上手くいかなかった、とか色んな理由は考えられますが。

どんな理由があるにせよ、マイナスの評判を立てられてしまったらたまりませんよね。

家づくりのときはあんなに親しかったのに。

施主さまとは、家づくりの最中はとても親しくなったように感じます。でも、施主さまは良い意味であなたのことを友達と思っていません。一業者さんなので、個人的な付き合いに発達させてしまうと業務がやりにくいのではないか?ということで、ある一定の距離を取る方がほとんどだと思います。ただ、自動車ディーラーのセールスマンよりは親しみを感じる存在ではあると思います。なにしろ、プライバシーをかなり共有してきたわけですから。

ところが、何年か経つと家は問題なく住めているし、修理が必要なところもないことを毎日工務店に感謝しながら生きているかというと、もちろんそうではありません。買ったものが正しく機能するということは、あまりにも当然のことですから、家だからといって特別ではありません。

こうして施主さまの頭の中で工務店に対しての親近感は薄れていきます。家も新築時の感動はなくなり、空気のような存在になる(これは良いことですよね)。

そこへ「定期検査」です。
ひょっとすると、自分の家の担当者とは別の人に変わっているかもしれません。
もはや、お互い完全な赤の他人です。

「定期検査かぁ。掃除しなきゃなぁ。面倒くさいなぁ。来週忙しいし。週末はゆっくりしたいし。どうしようかな」

と考えます。
延期が続いて検査そのものがウヤムヤになる。

良い見方をすれば、お客さまに何の問題もないうちに保証期間が切れているわけですから、御社の責任は無事全うしているわけです。何度も検査を延期したいということは、家が完璧だということの裏返しですから。

家電でも車でも保証期間が切れる前に定期検査があるわけではなく勝手に切れます。その点からすると、住宅業界は頭が下がるほど誠実ですよね。たとえ、ウヤムヤになったところで、お客さまには実害はないわけですし。(保証加入金から「定期点検費」を受け取っているという面もあるでしょうから、契約内容によっては問題になるかもしれません)

とはいえ、悪評につながってしまう可能性を秘めている以上、

なんらかの対策を立てておかなくては。

既に実施されてる工務店も多いと思いますが、(まだの場合、保証契約や法律などの問題には踏み込めませんので、専門家に相談してください)

最初から「定期検査で掃除をするのが面倒」という声を聞くので、都合が付かない方には自己検査をしてもらうと明言する。検査方法の選択肢に「自己検査」を用意する。この場合、きちんと施主さまの「終了認証」をいただく必要があると思います。
ウヤムヤにしたのではなく、色々ある検査方法の選択肢の一つを選んでもらい、誠実に履行したと確認していただけば、施主さまも納得してくださるのではないでしょうか。

ただ、自己検査をしていただくにしても、「どこをどう見てください」というステップバイステップのマニュアル的なものがなければ、不信感にかわってしまうかもしれません。

その他、もし御社が一般廃棄物の処理認可を持っているとしたら、10年点検時には粗大ゴミの回収をしますよ(物によっては法定の代金で)というサービスをすると、掃除ついでに定期検査の準備もしてくれるかもしれません。

定期点検が施主さまの負担になっているということ。
数年経つと施工時にどんなに良好な人間関係にあっても親近感は薄れているということ。
施主さま都合で保証期間が切れて検査の必要がなくなっても「ウヤムヤにされた」と感じることなどを覚えておくと良いと思います。