たとえ“古い”集客方法でも単純に「この方法は古いからダメ」と決めつけないほうが良い。

イエローページは、かつてとても効果的な宣伝方法でした。
ちょっと変わったものや、家の修理などが突然必要となったとき、あの黄色い電話帳をペラペラとめくって探したものです。

でも今、家づくりのメイン世代がイエローページをめくって工務店を探すか・・・と言えば、まず間違いなくあり得ないことだと思います。

電話帳は効率的な宣伝媒体ではなくなったようです。
高齢者ももはやあの小さな文字は読めないですし。

これは、電話を取り巻く環境が全く変わってしまったことに起因します。電話はかつて各家庭に1台。ワイヤレスになってもそれは同じことでした。

ところが、これだけ個人が電話を持つようになると・・・というより、そもそも若い世代は「電話」を持っていると思っていないかも。メールやテキスト、LINEやその他の通信手段が全て詰まっているから、わからないことはここで調べる。

イエローページの役割はインターネットに完全に取って代わられたと言えます。

折込チラシはどうだろうか?

折込チラシも以前の情報伝達ツールとしての勢いはなくなりました(まだ効果はありますが)。それは、折込チラシが「新聞」と切っても切れない関係だからです。

新聞を読まない、新聞を購読しない理由は、情報がインターネットに全てあるから。ひどい場合は、ネットで見たそのままの記事が翌日の新聞に載ってきますから、もはや年間4万円近くを払う理由がない。チラシ目的にしても高すぎる。新聞やめればチラシで安いものを見つけて買うよりずっと効率的にお金が残ります。

それでも、イエローページとは違い新聞をとっている人はまだまだ多い。親と同居している若い世代は、親が購読しているからまだまだ日常的に読んでいる人も多いです。特に地方では、親と同居しているが、田舎のため土地がある。敷地内に夫婦だけの家を建てようかという方も多いですから、そんな環境の方には折込の効果がとどきます。

その他の紙媒体は死んだのか?

この頃では、ポスティングやDMを「ゴミだ」という考えの方も増えてきました。私はまだポスティングがゴミには見えません。

イエローページと固定電話
折込チラシと新聞

こんな組み合わせは、ひっついていた媒体や道具が古くなったり、利便性が無くなったり、他のものに取って代わった結果、一緒に消えていったものです。

ポスティングは何と組み合わせられているのか?

ポスティングは「帰宅(または郵便受け)」と組になっています。どんなに社会が発達しても、帰宅しない人はいません。帰宅すれば郵便受けを見ます。ただ、

家に帰ると郵便受けがポスティングでいっぱい・・・。
しかも、自分と全く関係ないものや怪しげなものばかり・・・。

このイメージの悪さが「ポスティングはゴミ」という考えにつながっているわけです。日本以上にアメリカはポスティングがとても盛んです。特に、広告主である会社やお店から近いエリアのポスティングが多いです。これは日本も同じです。

特に多いのはピザ屋、中華料理屋、タイ料理など、小さなレストランでデリバリー(配達)をおこなっているお店。おそらく売上のかなり大きな割合がポスティングから生まれています。割引券もついているので、気軽に利用したくなりますし、美味しければリピーターになります。

アパートなどの集中郵便箱エリアには大きなポリバケツが置いてあり、住民はそこで

「これは欲しい、これはいらない」

と選別をして必要なものだけ部屋へ持ち帰ります。
ポスティングとは帰宅した人が、

たまたま欲しかった
時期的に一応もっておこうか(クリスマスシーズンなど)

という、その場で見込み客化したお客さまのパターンと、

ポスティングは捨てたけど、「何々」という情報への興味が芽生えた

というパターン。この場合は、ポスティングから購入することはなくても、世間一般にあるその情報をネットで調べる可能性があります。以前は興味もなかったこの情報を通して購入を思い立ったとき、御社が偶然再ポスティングして顧客化できる・・・とは楽観的すぎですけど、ポスティングする情報によっては「種まき」となっている可能性は否定できません。

そして、住宅業界ならこんなお客さまとの出会いが隠れているかもしれなのです。それは、

以前は不要だったけど、この頃興味が出てきた
そろそろ家を考えるようになった

どんな情報でも不要な時に届けば腹も立ちますし、機嫌が悪い時なら必要な情報もいらない。ポスティングに限らず広告というものは、常に受け取る側の感情や状況に大きく左右されるものです。

嫌がられるリスク
出会いのチャンス
そこにかけるコスト

これら3つのバランスが取れるなら、「帰宅」という行動と組になっているポスティングはまだまだゴミではありません。ただ「買え!」という宣伝をするのではなく、お客さまが喜ぶ、または得をする情報を提供する必要があります。

最後に・・・「楽をする」とお客さまに伝わってしまうから

どのエリアにポスティングやDMをするのかを決定する時には、あなたの持つ情報をすべて使って慎重に決定してください。

「このあたりになら当社の情報が欲しい人は比較的多いだろう」

というエリアや、

「家づくりを考えている人なら、家族で住めるアパートを重点的にポスティングしよう」

という判断が必要になってきます。
とすると、業者に頼んで一律で

「このあたりに何千通お願い」

という方法だと、あなたのポスティングはゴミになる可能性がとても高いです。おすすめは自分の足で動いてみて、

「ここはワンルームだから、配布しても意味が無いかな」
「ここは賃貸ではなくて購入した人ばかりのマンションだな」

という事がわかります。
私自身、ある会社の市場調査を兼ねて、オープンハウス会場の周りを自転車でポスティングして回ったことがあります。雪の残る寒い冬でしたが、一日1000枚を4日間配り(当社の推薦する格安印刷なので驚くほど安い印刷費でした)集客に成功しました。

この時は、折込も同時にしましたから、ポスティングと折り込み両方で見た方がなんとなく馴染みを感じてくださったのかもしれません。歩いて会場にいらっしゃる方も少なくなかったです。