動画の有利な点は、難しいことを「なんとなく分かった」気にさせることなんです。

TVでクイズ番組や情報番組を見るのが好きな方、多いですよね。
TVでは、医学や科学、歴史や文学などなどとても幅広い知識について語られたり、健康についてや料理の方法などなど、

TVがあれば図書館なんて要らないんじゃない?

と思わせるほどの情報が溢れています。
でも、ふと気づくと、先日テレビで見た健康法の話しをしようとしても、

「あの、あれだ。野菜のジュースがいいらしいな。この前TVでやってたけど」
「何の野菜ジュース?」
「けっこう色々な野菜入れてたぞ。人参とか・・・」
「他は?」
「なんだっけな。とにかく体の調子がよくなるらしい」

こんな会話しかできない人が多いです。
しっかりと細部を記憶しているわけではないのです。

料理番組でもそう。
レシピがテロップで表示される。
分量を書き留めようと思っても、メモがないから書き留められない。

あ~あ。

そこで、ネットで文字情報を求めるわけです。
固定された、逃げない情報が欲しい。
映像では何もかも見せてくれて、視聴者はそれを凝視します。
そして、理解した “つもり” になります。

でも、それはつもりの域を脱していないのです。

・・・動画って、あんまり意味ないってこと?

いいえ!違います!
意味がないことを海外にまで勉強に行ったと私自身が思いたくないということは別にして、映像には

そこで語られる話題について興味を持ち、概要を把握できた気分になれる

そんな力があるんです。
例えば、一本の動画をある建築会社が制作したとき。
編集する時、私たちは家をすべて見せてしまうということを絶対にしません。
ちょっと足りない感じで作る。
すると、もう少し見たいな。
動いてない状態で、あの部分を見たいな。
と興味を持ちます。
十分に見せてしまわないことで、なんとなく気になって「もっと見たい」という気になる。

あるテレビ番組やラジオ番組で扱われた内容が、翌日の書店で関連本の売上げアップにつながるということはよく知られています。

それは、もう少し情報が欲しいと多くの人が思った証拠。
または、固定された情報が欲しいと思ったか、です。
固定された情報とは、写真のように構図の中で完結しているものです。工務店ではパンフレットなどがそれに当たります。

映像のこんな性質を利用して、「この家は当社が今まで手掛けたものの中でもかなりの自信作だから、映像に残してウェブCMを作りたい。ロングバージョンはまた別のところで公開するような誘導に使いたい」ということも出来るわけです。

動画をE-ラーニング(ネットで受ける講座)のように考えて、何もかもを理解してもらおうと制作すると、実は宣伝効果はドンと下がってしまうんです。