初めてお会いする経営者にこんな質問をします。
「御社の特色はなんですか?」
その答えの中にこんな言葉が出てくることがよくあります。
「ウチは他社とは全然違う」
ですが、問題は「他社とどこがどう違うのですか?」という質問に、明確なお答えをいただけない場合。
意地の悪い質問をしているつもりはないのです。ここが建築業者ではない私たちにとって一番聞きたいところ。経営者がハッキリと他社との違いを表現できれば、どんな方法で表現していくかを考えることができます。でも、こんな答えが返ってくる場合もあって驚きます。
「そこをあなたに考えてもらいたいんじゃないの」
いえいえ、それは違います。社長。
他社と“全然違う”のであれば、明確な言葉にしていただきたい!
これまで自社の違いを説明していただけないどころか、企業理念から求人案内の社長の言葉まで全て丸投げで作ったこともあります。それで求人応募して、今も働いている人がいて・・・。それは社長の言葉ではないのに、と。
これではいけません。
社員も自分たちが何に向かって動いているのか分からなければ、仕事も楽しくないです。
正直な社長の言葉のほうが説得力があるのかも
逆に、とても正直な社長もいらっしゃいます。
社長1
「たまたま通りがかったり、自社の現場の付近にある他社の現場を見ると『ああ、ここの施工はよくないな』と細かい所で感じることが多い。出来上がりの家を見たら分からないし、口や文章で説明しても伝わらないことが多いんだよね。そもそも仕事をしてる職人がその問題に気づいていないこともある。職人がそうなんだから、素人には全くわからないだろうね。」
なるほど。となると、その社長の視点を他社を貶めることなく自社の特徴として分かりやすく表現する方法を考えればいいんだな。その道のプロである職人でさえ気づかないことまで細かくチェックしてるんだな、といったブレインストーミングが始められます。
または、
社長2
「いまどきね、どこの会社の家も強いですよ。崩れるような家作ってる会社なんて、噂とかTVでは見たりするけど、そんな会社どこにもない。あの工法が良いのでは?この工法はどうだ、と言いますが、どの工法にも賛否両論あって当たり前です。当社の周りにも色んな家づくりの会社があるけど、ウチが決定的に違うのは社員が辞めないことかも。けっこうこの業界入れ替わり激しいからね」
社員が辞めない会社って、それだけでかなり魅力作りができると思います。でも、この社長はそこがそんなに凄いことだと思っていなかったんです。
特色って家づくりの要素、デザイン・素材・工法のことばかり強調しなきゃいけないような気持ちになりがちですが、明文化できない
「全然違う」
に逃げないで自社を見てみると、意外な魅力に気づける可能性があります。
もちろん、本当に全然違うという点がポンポン出てくるなら、こんなにすごいことはありません!