日本の離婚率は今や約30%なのだそうです。
統計的には、3組に1組が離婚しているという事ですが、実際私自身の感覚としては
「そんなにあるのかなぁ?」
と思いますが、事実のようです。
しかし、私の近所で離婚している夫婦って少ないんですよね。
愛知県は県別離婚率順位でも真ん中くらいだからでしょうか。
上位の県に行けばもっと実感できるのかもしれませんね。
ただ、離婚とまでいかなくとも、夫婦ゲンカがない夫婦はありません。
「喧嘩するほど仲がいい」
といいますけどね。本当にそうなのでしょうか。
ぐだぐだと疑っても仕方がないので、言い切りましょう。
喧嘩をしない夫婦はありません。
逆に言えば、喧嘩の多い夫婦でもマイホームを建てています。
私の友人の奥さんは、
「ウチの旦那は、“釣った魚には餌をやらん男”だから」
と言っています。当の友人に聞いてもこの二人は昔から喧嘩が多いのに、数千万円のローンを組んで家を建てています。
住宅のCMでは、幸せそうで美しい奥さんと可愛らしい子供がキッチンで楽しそうに料理したりするシーンがありますが、現実はもっと泥臭い。
工務店としては、その泥臭さから目を背けて、
「新しい家に住み始めればみんな幸せ!」
という売り込み方をしない方が賢明かもしれません。
家づくりの「ぼんやりとした」始まり
家づくりエピソードでは珍しくない話で、ある夫婦は賃貸で何年か住み、お子さんができ、何かの拍子に、
「マイホームほしいなぁ」
という会話になったそうです。現実的にどうということではなく、ジャブを打つというほどでもない、サラリーマンが手持ち無沙汰で気のないゴルフのスイングをする程度の軽い会話から始まります。
その後、同級生が家を建てたり、ハウジングセンターの横を車で通ったりして、だんだんと「家ねぇ・・・」と考えるようになります。日本の社会では、大人になっていく過程で、就職をして、自動車を買い、結婚をして、家族旅行をし、そして家・・・という成熟イメージが未だ根強いからかもしれません。
ここまでくると、レストランの出口に置いてある住宅関連雑誌をもらってくるようになったり、ネットで調べたり、他人の家づくりの記録を見て
「ああだこうだ」
と羨んだり、悪口(笑)を言ったりし始めます。でも、現実的にどのくらいお金がかかるのか分からないし、誰に頼むのか、土地ってどうやって買うのか探すのか、全くわからない。かといって、ハウジングセンターに行ったらしつこい営業マンがやってきたりするんじゃないか、と心配。なんとなく安全そうな、人がいっぱい来るイベントを探して参加したりして知識を増やしていきます。
現実や自分たち特有の問題に直面する
アパートに住む人であれば、当然のように引っ越しをしなければならないので、
「この街に住むのか?」
・・・別に義理はない
「子供の幼稚園はどうする、小学校はどうする?」
・・・少し生活に根が生えはじめている
「会社の近くに住むのか?」
・・・会社の場所によっては非現実的
「仕事の都合は?」
・・・転勤とか、単身赴任とか
「慣れない土地での生活が心配」
・・・引っ越しが前提となると、これは仕方がないか
「お金の問題」
・・・誰もが通る道ですね
「どちらかの親の近くに住むのか?」
・・・このあたりから難しい問題になっていくことも。
3割が離婚する世の中ですから、CMのようなほんわかした話し合いばかりではないでしょう。
問題が重ければ重いほど、どうでもいいやと感じるようになる。
タイミング悪く大喧嘩になってしまうと、一旦この話はリセットされます。
別に今困ってるわけじゃないし、ファイナンスの本とか読むと、
「家を買うことが常に最良の答えじゃない」
とか書いてあるし。せっかく幼稚園が楽しいって言ってるんだから、小学校も知った顔ばっかりのほうがいいだろうし。
家を建てない理由なんていくらでも出てきてしまうんです。
このタイミングで営業活動を開始してしまっている工務店は不幸です。
ところが!
そうしている間にも、通勤の道すがらで新しい家が建ち、自分たちと同じくらいの年齢の家族が引っ越してきて、
「やっぱり、家欲しいな」
と思う。自分の家、マイホームって日本人にとっては成熟の通過点として本当に魅力的なので、“賃貸の方が賢い”とかどんなに言われても、多くの場合「家欲しい!」ってなります。
ただ、忘れてならないのは、どんな夫婦でも既に紆余曲折を経てモデルハウスや見学会に来ているのだということです。
きっと片付いていない問題はあるだろうし、見て見ぬふりをしていることもある。つまり、いつでも、
「やっぱり家なんていらない!」
というギリギリの状態。
それどころか、既に家づくりを先送りしていることに慣れてしまっている可能性もあるわけです。
どの家庭、夫婦にも問題があるのは当然のこと
私もモデルハウスなどで来場者を観察していると、
「相手(ご主人、または奥さま)に遠慮してる感じがあるな」
「この人は、パートナーの言葉を遮る癖があるな」
ということがあります。
そのあたりを見極めながら、「もういいっ!」ってならないような、夢と現実のバランスを取ってアプローチしながら、夢を放棄しないように導く必要がありそうです。
もちろん、私たちは営業マンではありませんから、こうして観察して得た経験を元に、夢と現実をやや夢寄りにしたホームページやパンフレットづくりでサポートさせていただくわけです。