私たちがいくら工務店業務に関わっても、家づくりの技術・知識に関してプロと並ぶことはありません。
「いつまでたっても素人」
なんです。でもそうでなければならないと考えています。
現場を見てもプロと同じ目で見ていたら、家づくりの素人である未来の施主様の視点を失ってしまいます。
私たちの役割は、素人である施主様と、プロである工務店、その中間に立っている媒体である必要があります。
その目で現場を見ていると
私たちが現場に立つ時、それはそれは面白いわけです。
私は岐阜の田舎で育ちました。
木曽川を越えると繊維の街一宮があるため、近隣の私の町にも紡績工場が沢山ありました。が、私の子供の頃にはもうその業界は衰退期。
工場が次々壊されて、進行住宅地に変わっていきました。
そこへ数十棟の家が一気に建てられていくのです。
私は小さな家に住んでいましたので、新しい家の中を見たくて仕方がなく、大工さんと知り合いになって現場に入り浸っていました。簡単な仕事を手伝わせてもらえたこともありました。おおらかな時代です。(笑)
その頃から建築現場が好きだったのに、いまだに現場に行くと見たことのないものが出てきます。
そりゃそうです。工務店の皆さんは日々新しい素材を試して、良いものを採用し、また新しく良いものが出てこれば、仕様を変更していきますから、毎日訪れない者にとっては現場には新しいことがいっぱいです。新しいものを見れば、
「これ、凄いですね!どうなっているんですか?」
とお伺いするのですが、返ってくる言葉は明らかに温度が違う。
「ああ、それは○○だよ。どこでも一緒だわな」
良いものは広がるのも早いので、どこの会社でもいつの間にか同じものを使うようになるのだそうです。だから、
全然特別なことではないよ
というのですが、大切なのは
「素人である私達にとっては全く新しい、未知のものである」
ということです。10数年前は、“別にどこもやってるよ”と言われれば、「そうなんですね」と流してしまい、数ヶ月後には他社がそれを“特別なこと”のように宣伝しているのをホゾを噛む思いで見ていました。
プロにとって当然のことでも、素人にとっては未知のものです。
どこの会社も同じことをしているのであっても、出来る限り早く御社がその技術を取り入れていることを発信してしまう方が有利です。
「言ってもらえなきゃ、気づきもしませんでした。」
これが施主様の実際の声です。
同業他社の誰かが御社ページを見たら
「あったりまえのことをさも偉そうに書いてるな」
と思うのかもしれませんが、そんなことは気にする必要はありません。
むしろ、そのほうがうれしいくらいです。
ただ、あまり吹聴したり大げさに書くと他社の営業マンに揚げ足を取られたり、ネットで悪口を書かれたりすることがあります。
これを避けるためには、その技術や素材のことを書く前に、その素材にたどり着いた経緯やその素材に魅力を感じた理由など、
御社がその素材を選択した根拠をしっかり説明する。
そうすれば、素材のことだけでなく、御社の経営姿勢もお客様に伝わる情報になるはずです。