施主さまのために家をつくることと似ていますが、デザインなどを仕事として行うのは、芸術作品を作ることとは違います。
私たちの技術は、お客さまの会社を視覚的に表現して伝えるために使うのであって、自己表現の手段として使うことはありません。
そのため、新しい会社とお付き合いが始まると、相手の会社の考え方、経営方針などをできるだけ早く見極めて行く必要があります。当社は工務店のお客さまが多いので、建築業界のことは他のクリエイティブの会社よりよく知っています。
でも、同じ建築業界にあっても、それぞれの会社は全く別々の存在です。
「あ~、わかってるから大丈夫。詳しいんですよ」
なんて偉そうなことはいつまでたっても言えません。
更に、当社は “工務店専門” を掲げていますが、大変ありがたいことに他の業界とのお付き合いもいただいています。
建築業界でも施主さまと出会うと、まずヒヤリングをします。
ですが、このヒアリングが曲者なのです。
よほどの達人ならいざしらず、多くの営業マンがなかなか核心に迫ることができず、ある日電話で
「別のところに決めてしまいました」
ということになってしまいます。
ヒアリングやインタビューで質問を項目でまとめてしまうと、どうしても「ここ!」というところで踏み込むことができず、ありきたりのことだけ聞いて終わってしまうなんてことも多々あるのではないでしょうか。
クリエイティブ系の仕事では、物事がなんでもかなり抽象的になりがちです。
確固たる規格もなく、基準となるものが全くないので、相手を知るというステップには若い頃から苦しみます。そのため、いつしか「型」のようなものができてきます。
人をつくるのは選択の積み重ね。人の物を見る。
人は様々な選択を積み重ねて生きています。
その積み重ねがその人をつくると言われますよね。
例えば鮮やかな服を好む方と、シックな服を好む方でも性格に違いがあることは明白です。このように、一番わかり易いのは、身につけているモノやスタイル。
こんな観察を心がけます。
(以下は男女の特徴を混ぜて書きます)
ご来社の自動車、車種、メーカー、国産、会社など。
ご自分の車でしょうか。
帽子でしょうか、何もかぶってないでしょうか。
どんな帽子でしょうか。
アウトドア系、ベースボールキャップ、ニットなどなど。
髪は短いでしょうか、長いでしょうか。
ワックスを使っているか、ナチュラル系でしょうか。
メイクはどうでしょうか?
アクセサリーは。
メガネは。
コンタクトレンズは。
眉毛は整えているでしょうか。
髭は。
傷は。
皮膚は。(アレルギーなどの様子)
日焼けは。
服装は。
上着は。
メーカーは。
パンツでしょうか、スカートでしょうか。
バッグは。
携帯電話の種類は。
服装のトーンは。
靴は。
靴下は。
:
手は、キレイでしょうか、職人っぽいでしょうか。
ペンタコ、マメはありますか?
ジェスチャーの癖は。
訛りは。
声のトーンは。
:
など、これだけでまず最初の「印象」は分かります。
その印象と、実際に話をしてみて差がないかどうか観察してみてください。
もし、ご自宅にうかがう機会がいただけたなら本棚を見る
ご自宅に伺えるような間柄になったら、もう相手のことはある程度わかっている状態だと思います。
でも、まだまだ掘り出していない、または避けて通っている、または話したくないことなどがあるかもしれません。
来客時に部屋を乱雑なままで迎える人はまずいません。
だから、「肝心なもの」は隠されている可能性がありますが、隠さなかったものからも色々なことがわかります。
持病のある方はテーブルなどの上に、薬を飲むのを忘れないよう専用のカゴに薬嚢を置いていることが多いです。
子供が居る家では、冷蔵庫に磁石で色々と貼り付けます。
趣味のものは見えますか?
資格試験の教科書はどうでしょう。
カレンダーはどうでしょうか。
あまりジロジロ見ると失礼ですが、そこは上手に。
中でも是非みたいのは、本棚です。
趣味から心の悩みまで、なんでもあるのが本棚です。
乱読派でしょうか、精読派でしょうか。
本の扱い方で大体わかります。
観察だけでわからないことも
もちろん観察だけで分からないことも沢山あります。」
相手が気持ちよく話す環境の作り方を、次の記事でご紹介しています。
TVのアナウンサー達から学んだ話の仕方。